眠るためには体力が必要だ。
若い頃は、母親が起こしに来ても、なかなか目を覚まさず、母親を梃子摺らせていた。
我が家の子供も、たまの休日は昼頃まで熟睡している。
しかし老人には、その眠るための体力がない。
その為に、歳をとるとメッキリ早起きになった。
僕もそうだ。
それも半端ではない。
午前5時はむしろ遅い方で、3時に目を覚ますことも度々だ。
要は、トイレに起きて、そのまま眠れないのだ。
多くの老人も同じ悩みを抱えていて、医者に相談して睡眠剤を処方してもらう人も増えているようだ。
僕もさすがに、しばらくは悩んだ。
しかし考え方を変えることにした。
別に早起きしても、何の問題もないではないか。
早起きして睡眠不足なら、その分昼寝すればいい。
仕事はリタイアしているのだから、時間だけはたっぷりある。
しかも人間は、必ず一定程度の時間は眠るようにできている。
その証拠に、一番残酷な拷問は、容疑者を眠らさないことだと聞いたことがある。
本当に眠い時は、ヘッドフォンを装着してガンガン音楽を聴いていても眠ってしまう。
別段、睡眠薬など飲む必要はない。
実は、早く目を覚ましても、暗闇で目をつぶっていると、いつの間にか眠っている。
しかし本人には、起きている瞬間の記憶が繋がってしまうので、ずっと起きていたと勘違いしてしまう。
またやむを得ず、そのままテレビでも見ていると、そのうちにまた眠くなってくる。
人間は必ず眠るのだ。
眠れないとか、眠りが浅いとか、あれこれ心配する必要などない。
睡眠薬などは以ての外。
「その内にまた眠るだろう」と、大らかに構えておくことだ。