保守的人物の中に、安倍首相が靖国神社を参拝しないことや、中途半端な憲法改正案でお茶を濁しているとの不満があるのは充分に理解する。
実際に、拉致問題解決も含めて、改憲も靖国参拝も、安倍政権は実行できなかった。
しかし安倍首相は、今現在は憲法改正ができる状況ではないと判断しているのだろう。
靖国に参拝し、憲法改正に進めば、間違いなく野党が「戦争への道を進む暴挙」と大騒ぎし、ことと次第では、選挙で自民党が敗北する可能性が出てくる。
それでも正義の道を突き進めとの意見もあろうが、一方では、自民党が敗北すれば、あの「悪夢の野党政権時代」の再来となる。
未だに平和ボケしている国民が、どちらを選択するのかの問題なので、僕は、ここでの勝負は危険だと考えている。
安倍首相が最長政権を維持できたのは、偏に、選挙に勝ち続けたからだ。
第一次安倍政権は、こうではなかった。
新任大臣になった安倍首相のお友達たちが、次々と醜態を晒し、選挙で大敗した。
安倍首相本人も体調を崩し、結果として政権を投げ出した。
その轍は、絶対に踏まない。
第二次安部政権の時に、安倍首相はそう考えたはずだ。
現実を見ると、安倍首相が悲願としていた憲法改正は、道半ばにすら至っていない。
国会の議席数こそ、改憲勢力が三分の二に到達したと見做されているが、しかしその実態は、公明党を含んでのモノだ。
公明党は、与党で居続けることだけが党是の政党なので、全く信用できない。
むしろ、憲法に関しては護憲勢力であり、その証拠に、選挙の結果で自民党が勝ち、改憲が話題になると必ず「慎重に」と、自民党のブレーキ役を果たす。
こんな旗幟「不」鮮明で、アヤフヤ主張の蝙蝠政党、公明党を信じることができるのは、恐らくは創価学会員だけだろう。
実は、改憲で足並みが揃っているのは、野党の「維新の党」なので、本気で憲法改正を目指すのなら、公明党抜きの維新込みで、三分の二以上の議席を獲得した後だ。
靖国神社参拝問題も同様だ。
安倍首相の本音は、今靖国参拝することで中韓両国を刺激したくないとの思いだろう。
選挙での勝利が優先なので、少しでもマイナスになる要素はとりたくないに違いない。
しかし中韓両国は、実はどこまで時間が経っても、日本にはイチャモンをつけ続ける。
この両国に配慮する限り、日本の外交は正常化しない。
僕はこの問題については、安倍政権終焉近くまで様子見するのではなく、もっと以前の段階で、正々堂々と参拝するべきだったと思っている。
しかし安倍政権は、安全運転の道を選んだ。
そして、その安倍政権の終わりが、確実に近づいている。
自民党の媚中派議員の代表格、二階俊博が、安倍四選を打ち出しているのが皮肉だ。
常に中国と韓国寄り発言に終始する二階が、その両国から最も嫌われている安倍首相を応援する。
そこに、安倍政権の矛盾を表れている。
三期に亙って首相を続け、最長政権記録を打ち立てた安倍政権なのに、与党からも中韓両国からも、中途半端な政治姿勢ぶりを批判される。
しかしそんな安倍首相の八方美人の配慮で、少なくとも中国は安倍政権を敵と見做してはいないし、あの韓国だって、文在寅政権までは、日本と決定的な対立構造にまでは至っていなかった。
これはとりもなおさず、安倍政権でさえ、果断に保守本流の政策を実行するだけの力量はなかったことであり、国際的にも日本の隅々にも、反日のサヨク勢力が蔓延っているので強行突破できない証拠だ。
ポスト安倍に誰がなっても、安倍首相ほどのリーダーシップは期待できない。
即ち、改憲にせよ、靖国参拝にせよ、拉致問題にせよ、次の自民党政権の力量は、安倍政権時代よりも間違いなく後退する。
石破茂などは論外だが、岸田文雄も弱弱しいので、野党は一息つくだろう。
その分、保守側の人間には、安倍晋三を凌駕するリーダーが登場するまでは、ストレスタップリの時期が続くことを覚悟しなければならない。