地上波テレビを見なくなった分、ケーブルテレビを見る機会が増えた。
そのケーブルテレビでは、スポーツ番組や昔の映画と共に、中国、韓国の長編ドラマも、繰り返し放送される。
韓国ドラマは、荒唐無稽の夢物語ばかりだ。
得意の恋愛ドラマは、ストーリーが日本の中学生レベルで、同じ顔をした整形美人がベタベタに演じるだけだ。
昔は見たことがあるが、今となっては、さすがに食指が伸びない。
また韓国の過去は、全く見るべき歴史がないために、歴史ドラマとなると、史実にはまるで無関係の大嘘コンコンチキのオンパレードだ。
自国の歴史が哀れ過ぎるので、そうとでもして嘘で飾り立てないと、如何に厚顔無恥な韓国民も、番組を見る気にならないのだろう。
一方中国には、一応は世界中に知れ渡った、国の歴史が存在する。
昔の四大文明が勃興した地域でもあり、日本から遣隋使、遣唐使が派遣されていたほど、文化が世界のトップレベルだったこともある。
王朝や皇帝の題材には事欠かないし、多くの英雄、英傑が権謀術数の限りを尽くして、騙し騙されを繰り返してきた。
だから、見方によっては結構面白いし、何より中国歴史の勉強にもなる。
しかし、そんなケーブルテレビの番組を提供するスポンサーは、その大半が如何にもインチキ臭い、化粧品、健康食品や通販会社だ。
そしてその企業のコマーシャルが、揃いも揃って酷い。
これでもかと売り込んでいるが、「今だけのサービス」とか「超割引」とか、如何にも如何わしい商品を、如何にも如何わしい方法で宣伝する。
こんなインチキ臭い商品に、誰が引っかかるのだろうと思うが、飽きもせず繰り返しているところを見ると、それなりにカモがいるとしか思えない、
そんなコマーシャルの出演者は、悉く素人の設定になっている。
その辺の、どこにでもいるような雰囲気の連中が、商品を大袈裟に褒めちぎる。
健康薬品なら、「ビックリです、飲んだら一発で効果あり」みたいな大賛辞を贈る。
あんな純朴そうな人が、あれほど効果があると言うのなら、一度くらい試してみるかと、そんな気持ちにさせるのだ。
ただこのコマーシャルをよくよく注意して見ると、演じているのは実は素人ではない。
全員が、全く売れていないプロの俳優だ。
だから、台詞回しが極端に上手い。
素人では、ああはいかない。
例えば、NHK番組の「チコちゃんに叱られる」を見れば良く分かる。
番組の中で、「チコちゃんて凄いね、アタマが良いね」と出てくるゲスト解説者は、全員が台本の丸読みで、抑揚のない一本調子でわざとらしい。
アレが、典型的な素人の台詞回しだ。
同じような台詞でも、訓練されたプロ俳優が喋ると、実に感情が籠る。
玄人’(プロ)と素人では、他人に訴える能力に、歴然とした差がある。
実は僕の義兄が、ある超ローカルラジオ局の番組にレギュラー出演することになった。
義兄は、生まれてこの方、ずっと田舎に住んでいたので、方言に造詣が深い、
と言うより、方言しか喋れない。
その点を買われて、番組内で有名な外国の曲を、方言に翻訳する役割を仰せつかった。
そこで番組に出演することになったが、何時まで経っても素人臭さが抜けない。
相方のプロ音楽家が上手くリードするし、本人も努力はしているのだろうが、必死に良いところを探そうと贔屓目に見ても、ノリが悪いので話題が弾まない。
ここでもやはり、素人と玄人の差を感じてしまうが、その所為か、あまり評判も上がらないので、さほど長持ちする番組とは思えない。
まもなく、惜しまれつつ番組はエンディングを迎えるだろう。
ケーブルテレビのコマーシャルタレントと、チコちゃん番組のゲストの差、義兄とプロ音楽家とのMCの差をみると、さすがにカネを稼ぐことの難しさを痛感する。
素人と玄人の差は、一見すると大したものではない、
しかし実は、それは決定的な差で、そんじょそこらの努力では埋められない。
それが、ギャラの差となる。
世の中は厳しい!