つい一か月前までは、トランプ大統領再選確実と見られていたアメリカ大統領選挙が、ここに来て姦しくなってきた。
不審者尋問中に警官が暴行を振るい、George Floydが死亡したことへの抗議デモが暴徒化したことに、当初は軍隊導入まで示唆したトランプに対して、アメリカ国民の反発が強まっているらしいからだ。
アメリカABCによると、大統領選のマスコミ支持率調査では、バイデン50%、トランプ40%と差がついているらしい。
そのABCによると、
・武漢肺炎が終結していないのに、トランプは遊説集会を強行再開した。
・トランプは会見で、その集会は必ず満員になると繰り返していた。
・入場できない人のためには、野外ビュー会場まで設けるはずだった
が、実際は、
・会場には空席が目立った
・野外会場は早々に撤去された
と、まさしく小躍りせんばかりに嬉しそうに報道していた。
実際には、無料入場券を大量入手したトランプ反対派のKーPOPファンたちが、組織的に不参加を決め込んだために空席が目立ったらしい。
両陣営とも、虚々実々の駆け引きで相手を陥れようとしているが、ABCはCNNと並び、反トランプの急先鋒だから、こんなニュース報道になる。
四年前の大統領選でも、全く同じようなニュースばかりだった。
トランプは、変わり者の人種差別主義者で泡沫候補扱いだったし、事前の調査では、ヒラリー・クリントンが圧勝するはずだった。
ところが結果は、トランプの勝利。
原因は、トランプの恥も外聞も搔き捨てた、とにかくアメリカ利益最優先の「アメリカファースト」の我が儘主張を、経済不況に苦しむアメリカ国民が受け入れたとされた。
大手マスコミに不信感を持つトランプは、大統領当選後の記者会見でも、敵対感を露わにして、SNSで情報を発信し続けている。
一方の大手マスコミも、反トランプ報道の手を緩めず、何か事あるごとに反トランプキャンペーンを張る。
今回の黒人死亡事件でも、トランプは、暴徒化したデモの黒幕にテロ団体と名指ししたANTIFAがいるので、「法と秩序」で対処しなければならないと主張する。
すると大手マスコミは、「トランプは黒人差別に無理解で無関心」と反論して、トランプ攻撃に拍車をかける。
黒人差別問題は、反トランプキャンペーンの格好の材料となっているし、一部ではインディアンを迫害したコロンブスや、奴隷を所有していた初代大統領ジョージ・ワシントンの否定にまで急進化するなど、アメリカの国論は完全に二分されている。
しかし黒人差別反対デモが、商店襲撃や商品略奪にまで至っていたのは間違いない。
そのことにはダンマリを決め込む大手マスコミは、黒人は今まで差別されてきたから、ANTIFAの暗躍や、黒人のあの程度の犯行は仕方がないとでもいう積りか。
平和裏の意思表示は、民主主義国家に住む国民の基本的権利だ。
たとえ自分の意見とは違っても、誰もそのことに反対する人はいない。
しかしその中で、暴力で商品を略奪したら、それは泥棒であり強盗でしかない。
当然ながら、そんな犯罪者に対しては法の裁きが適用されるべきだ。
その犯行動機に情状酌量の余地があるか否かは、その後の裁判で判断するべきものだ。
アメリカ国内では、トランプと大手マスコミの確執は広く知れ渡っている。
だからABCやCNNが反トランプの大キャンペーンを張っても、トランプ派はFOXテレビを見れば、それと反対の意見を聞くことができる。
問題は、このアメリカの報道が、日本ではどう伝えられるかだ。
NHK衛星放送では、海外各国のテレビニュースをまとめて紹介する番組があり、毎日放送されている。
しかしそこで、FOXのニュースが紹介されることはない。
常にABCであり、データの大半はCNNのモノだ。
だからアメリカでは、反トランプの気運が異様に高まっているように思ってしまう。
要は、NHKは反トランプの放送局なのだが、実際は、いくら日本人を洗脳しても、アメリカ大統領選挙に影響を及ぼすことはない。
しかし日本のマスコミが、しつこくトランプ批判報道を続けるのは、そうすることで間接的にだが、トランプと親しいとされる安倍政権への批判につながるからだ。
NHKの思惑は明白だ。
一見まるで日本の政局とは無関係と思われる、アメリカ大統領選挙の報道にも、日本のマスコミの思惑が隠されている。
油断大敵。
注意一秒、怪我一生(は、交通案円の標語だが、この場面でも通用する)。
日本のマスコミ報道には、どんなものでも、細心の注意と批判精神で接した方が良い。