カッコ良いスポーツカーが評判のメーカーの販売店なので、その昔一度訪問したことがある。
我が家からは、わずか数百メートルの距離にある店だ。
地元新聞が、具体的店名を挙げて「五人の従業員が集団感染」と報じた(らしい)。
「らしい」と言うのは、そんな地方紙は読まないので、このニュースを知ったのはSNS経由だからだ。
Facebookに「我が〇〇市を愛するグループ」が存在し、そこに某氏がこのニュースを投稿したことで、僕も含めて知った人が多い。
ただ地方紙のニュースとは違い、彼の投稿は「近所の車販売店でクラスター発生」との抽象的表現の紹介だった。
ところが、この投稿への批判が相次いだ。
「〇〇市民の不安を掻き立て、風評被害を拡大する」と言うのだ。
それに対して投稿者は、
・確定した情報を共有化する目的で投稿した
と反論していたが、甲論乙駁で賛否が分かれていた。
最終的には、このグループの管理人が登場して、
・これ以上のコメントは禁止
・このグループは我が町のセレモニーや美味しい店を紹介するもの
と結論づけて、せっかく盛り上がっていた議論もハイお終い!
実に消化不良の結末となった。
この投稿が、風評被害を拡大するのか、あるいは市民の武漢肺炎予防強化につながるのかは意見が分かれる。
風評被害では、福島原発事故直後の山本太郎の言動があげられる。
当時国会議員だった山本太郎は「(放射能汚染されている)福島産は食べない」と演説した。
この時点で、福島産品の放射能含有率は科学的に測定され、安全が確認されていたのに、山本太郎は敢えて風評を拡大することで、福島産品ボイコットを煽った。
小池百合子は、豊洲市場の安全性が確認されているのに「安全と安心は違う」との詭弁で、豊洲市場を風評被害に晒し、評価を貶めた。
こんな為にする悪質な風評とは違い、我が町のクラスター情報発信は善意からのモノだ。
加えて、既に地方紙で報じられているので、根拠は明確なのだ。
唯一残った問題は、既に報じられたニュースを、敢えてSNSで拡散する必要があるのかどうかだ。
投稿者は、武漢肺炎拡大を防ぐために情報公開が必要だと主張する。
一方の反対派は、不要な不安感を煽り、店側に迷惑をかけると言う。
しかし考えてみれば、現実に従業員にクラスターが発生した販売店は、感染経路の調査や、事後の対策が必須になる。
また、一定期間だが大量の従業員が休むのだから、当座は今まで通りに営業を続けることは不可能だ。
むしろ販売店側は、陰で密かに噂されるよりも、堂々と店名を公表して、具体的な再発防止策で信用回復に努力する方が良い。
コソコソするのは、却って不安感を払拭できないのだ。
地元を愛する気持ちは、楽しい催しや料理の美味しい店を紹介するだけではない。
武漢肺炎感染拡大を、極力小さくすることも大事だ。
不要不急の外出を控えることは、間違いなくその一助になるが、一方では自粛が行き過ぎると経済が悪化する。
武漢肺炎の第三波が収まらない中で、防疫と経済の両立を図るためには、危うい場所は避けるが、安全なところなら、完全武装でマナーを守りながら動き回ることが必要になる。
そのためには、地域コミュニティでの情報公開は重要と思うのだが。