どうやら事件の実態が見えてきた。
愛知県知事リコール不正事件で、真っ黒疑惑人の一人、元常滑市議の山田豪が自らの関与を認めた。
しかも「百万人リコールの会」田中孝博事務局長からの、指示と共謀までバラした。
田中の方は、未だ「(山田の)発言内容が分からない」と悪足掻きしているが、一緒に指紋押印作業をしたと言うのだから、警察に証拠がバッチリ残っているはずだ。
もはや、田中逮捕は時間の問題だ。
ここからは、大問題が二つ残っている。
一つは、日本維新の会の責任だ。
田中も山田も維新所属で、田中に至っては、次期衆議院選挙の維新公認候補だった。
リコール不正が発覚した時点で、田中は維新の党籍を離脱し、維新も尻尾切りで田中の公認を取り消した。
しかしそれまでは、維新は積極的にリコールにも関わり、大阪の吉村洋文府知事は、何度も連帯のメッセージを送っていた。
維新がこのリコール運動を、愛知県での党勢拡大に利用していたのは間違いない。
その先兵役の田中が不正の中心人物だったら、日本維新の会の責任は絶対に免れない。
維新の方もヤバイ立場は分かっているようで、吉村も松井一郎大阪市長も、リコール不正に関しては、最初から何の関係もなかったようにダンマリを決め込んでいる。
もう一つは、愛知県の人気者、高須克弥と河村たかしへの責任波及だ。
結論から言えば、河村は無事に逃げ切れる。
河村のポジションが「リコール応援団」に過ぎず、リコールの具体的な日常活動に関わっていないからだ。
しかし、高須は微妙だ。
先ず、高須がどの時点で不正を知ったのかが問題になる。
高須は、選管が提出された署名の83%以上が受付っけられないと発表した時、執拗に「不正ではなく無効票だ」と繰り返した。
しかし既に9月時点では、不正署名の存在を見つけたリコールボランティアの中から、告発の動きが出ている。
彼らは何とか、そのことを会長の高須に知らせようとしたが、高須は無視しただけでなく、彼らをスパイ扱いして攻撃すらしている。
街頭応援に駆け付けた有本香は、この時に不正署名を訴える高須宛のレポートを手渡されたはずだが、それをどう扱ったのか説明していない。
いずれにしてもこの時点での高須は、不正署名の存在を信じなかったのだろう。
高須自身が積極的に田中と共謀関係で、慌てて臭いモノに蓋をした可能性もあるが、その後の高須の態度を見れば、やはり田中を完全に信用していたと思う方が妥当だ。
だからと言って、高須の責任がないわけではない。
何と言っても高須は、リコールの会の会長であり、そのリコールの会が不正を仕出かしたら、会長としての責任は免れない。
高須にはもう一つ、公職選挙法違反の疑いがある。
それはリコールの会への寄付問題だが、本人が寄付したことを認めている。
公選法では、個人寄付の上限を一人150万円と決めている。
高須も充分に理解していて、長らく「寄付金は150万円だけ」と説明してきた。
しかし12月10日、何と1200万円を「貸し付けて」いることが明らかになった。
寄付は駄目だから「貸与金」の体裁をとっているが、一か月前に高須自ら活動停止を宣言したリコールの会への貸与だから、カネが返済される当てはない。
限りなく寄付に近い貸与金なので、法律違反の可能性は高い。
また不正署名は田中が発注したのだから、その費用も、田中がいくら否定しても、リコールの会が払ったとみるのが自然だ。
リコールの会運営費用が「不足したから貸し付けられた」とされる高須資金だが、まわりまわって不正署名費用を充当したとも言える。
高須は、不正署名と無関係ではない。
警察、検察の捜査が、この高須の責任をどう捉えるのかが、残った最大の課題だ。