昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

本当は否定しているんだけど

一般的に日本人男性は、身内を褒めるのは不得手だ。

テレもあるし、嫁さんや子供を自慢する男性は少ない。

実際は全く違うのに「恐ろしい鬼嫁」とか「バカ息子」と紹介している方が場が和む。

日本は、そんな文化の国だ。

嫁の悪口を言ったとバレると大問題になる、外国では信じられないことだ。

 

しかし日本人でも、女性は些か違う。

自分の亭主を褒める人は少数派だが、子供をやたらと自慢する人はいる。

亭主に不満がある女性の場合は、更にこの傾向が強まる。

亭主がダメだから、その分の期待感を子供に集中して、自分の夢をかなえてくれる分身のように、全精力を注いで子育てに没頭する。

 

嫁の友人など、その典型だ。

彼女は折り合いの悪い亭主は放ったらかしで、そのエネルギーを子供に集中していた。

お嬢さんの結婚相手など、自分の恋人のように扱う。

「お嬢さんのご主人、ハンサムね」と褒めると、彼女が「ありがとう」とお礼を言う。

 

その娘婿は上級国家公務員なのだが、残念ながらその将来を嘱望される必要条件と言われる、東大法学部卒の条件は満たしていない。

僕から見れば、役人として出世など考えない方が無難だとアドバイスしたいほどだ。

しかしやはり彼女にとっては、可愛い娘の婿なので、亭主には持つことができなかった期待感を持っているようだ。

 

その娘婿が、この4月の人事異動で、ある地方の所長になった。

確かにトップには違いないが、大して所員もいないような田舎町の担当だ。

普通に考えれば、決して喜ばしいモノではない。

しかし彼女は、この異動も他人には「一応、栄転なの」と説明する。

「鶏口牛後」と思っている、若しくは思いたいのだろう。

 

この「一応、栄転なの」の発言は、なかなか味わい深い。

「一応」とつけることで、実は栄転ではないことが分かる。

彼女にすれば、さすがに栄転と言い切るのは憚られるので、「一応」とつけてささやかに自慢したいのだろう。

 

こんな言い回しは、我々の周りにも多くある。

4月に始まったNHKラジオ英会話の「中高生の基礎英語」は、鈴木福君がアシスタントとして出演している。

あの「マルモの掟」で、芦田愛菜と共演していた鈴木福君だ。

天才子役の芦田にダメ出しを連発され、ノイローゼ気味になり、今後の共演は絶対NGを訴えたあの鈴木福君だ。

超難関中学に入学し、世間の脚光を浴びた芦田に比べると、フク君は演技力だけでなく英語の方も覚束無い。

 

そんなフク君の英語レベルは、我々英会話初心者を勇気づけてくれる。

講師の質問へのフク君の回答は、発音もヒドイし、間違いが多い。

ところが講師は、フク君がどんなに答えを間違えても、決して「それは間違い」とは言わない。

明らかな間違いにも「Huku, your answer is almost correct.」と教え諭す。

 

オールモスト・コレクト!

日本語訳すれば「ほとんど正しい」になるが、実は「間違い」を意味する。

 

我々のゴルフのチョコレートで、最後のパットに「オールモストOK」と言うと、それはOKではなく、もう一度パターをすることを要請している。

「OKしないよ」ではトゲがあるので、「ほとんどOKなのだがネェ」とやる。

若干のイヤミなので、友達に使うのは問題ないが、取引先に対しては絶対にやらない。

 

「一応」も「オールモスト」も、後に続く文言を否定する意味がある。

実態を素直に認めたくはないが、どうしても気持ちの部分は伝えたい。

そんな時には、便利な言葉だ。