昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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「お母さん、天国から見ていてくれたと思いますヨ。」

大事を成し遂げた人への標記のインタビューに対して、「えぇ、きっと見ていてくれたと思います」と、勝利者が涙ぐみながら答えを続ける。
戦いの直前に母親を亡くした悲しみのどん底から栄冠を得た勝利者に対して、涙涙のインタビューとなり、見ているこちらも貰い泣き。
感激のシーンなのだが………

ところで、大事を成し遂げた人の両親は、何故かならず天国にいるのか?
この種のインタビューで、「お母さん、地獄からきっと見ていてくれましたヨ」なんて台詞を聞いた事がない。
大事を成し遂げた人は素晴らしい人で、その両親もまたきっと素晴らしい人に違いないとの思い込みが前提となっている。

だがしかし、大事を成し遂げた人の性格が円満である保証はどこにもない。
モーグルの名選手が、酩酊の挙句に大騒ぎをし、私生活の乱れまで問題になったのもつい最近の出来事である。
日の丸を代表し、「絶対に勝たねばならない」との強烈な使命感を持っている人にかかるストレスは、我々凡人の想像を遥かに超えるものだろうから、発散の為に常識外の考えや行動に至ってしまう事は充分にあり得る。
人格円満な人が、厳しい競争を勝ち抜く事など大変難しい事で、「ルールで許される事はなんでもあり」みたいな、闘争本能に溢れた人でなければ最後の勝利者になれるはずがない。

であるならば、そういう選手を育んだご両親も、必ずしも人品骨柄100点満点の人物とは考えにくい。
勝利者や有名人の両親が全員天国にいるのかなと、疑問を感じる所以である。
日経新聞の「私の履歴書」で功成り名を遂げた人の文章を読むと、ほぼ全員が両親、家族、周囲の人達に感謝し、「自分の偉業達成は、運が良かっただけ。皆さんのおかげです」なんて殊勝な事を述べているが、実際には「成功したのは全て自分の努力と才能のおかげ」と信じている人も相当多いはず。
他人を慮ったり、気配りなんかしていたら、生き馬の目を抜くような競争社会で勝ち抜く事は困難なのだ。

小学校の教科書にあるような、「偉人は良い人だ」式の先入観は持たないほうが良い。