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作られた虚像! 亀田興毅

ビッグマウスとパフォーマンスで亀田三兄弟は日本中の大人気者となった。
デビュー以来の連戦連勝、派手なKO劇と、その都度繰り返される漫画的ショーマンシップ。
彼等は日本人ボクサーと戦っていないのでどこまで強いのかの相対比較が出来ず、「戦った相手は三流ボクサーばかりで、本当の実力者ではない」との指摘があったが、誰もが、彼等三兄弟は天才ボクサーだとのイメージを持ち、戦えば楽勝と思い込んでいた。
彼等とその取り巻きも、「世界戦を見ればすべてが分かる。言いたい奴には言わせておけ!」と余裕の発言を繰り返す。彼等に疑問を呈した評論家や元ボクサーが悪役を担当する事となり、番外編でも結構盛り上がっていた。
しかもマスコミは、彼等を何度もテレビに露出させる事で、一見強面だが、実は天才で、親孝行で、シャイで、繊細な愛すべき兄弟とのイメージを植え付ける事に成功した。
彼等は、マスコミによって視聴率を稼げるタレントボクサーに作りあげられた。

そして、これまでの様々な見方に対して、8月2日にある結論が出た。
長男で、天才の名を欲しいままにしてきた亀田興毅が、何とチャンピオン決定戦の一回に早々とダウンを喫してしまった。
その後も、彼は良い所なく打たれ続け、11回にはグロッキー寸前。
最終回もいい様にあしらわれ、どう見ても勝ちようのない内容だった。
しかし、彼は判定で勝った。勝ってしまった。
その結果、日本中で大ブーイングが起こり、インターネットの投票では亀田が負けていたとの見方が90%を遥かに超えていた。
つまり、誰がどう見ても亀田は負けていた。
亀田は強くはなかった。
もちろん弱いボクサーではない。かなりのレベルに達している非凡なボクサーである事は間違いない。
しかし、「歴史を変える」とか、「新しい時代の始まり」とかと形容されるような傑物ではなかった。
一方的に殴られ、顔の相が変わり果てた亀田は、自分が勝利者と判明した途端、飛び上がって喜びを表現し、人目をはばからず泣いた。
これは、今回が如何に苦戦だったか、自分が負けているのではとの不安が強かった事の証明である。

ボクシング評論家の意見も二分されている。
大橋秀行渡嘉敷勝男は、「素人には分からないだろうが、亀田は僅差で勝っていた」と評論。
一方、ガッツ石松は「みんなが負けていると見るのは、実際負けていたから。7ポイント差で亀田の負け」と断言。
しかし亀田擁護派といえども、さすがに大変苦戦だった事は認めざるを得ず、後は「プロの目から見て云々」と言い訳がましいコメントであり、歯切れは極めて悪い。
亀田は「親父のやってきた事が世界に通用した事が嬉しい」と言ったが、実は彼のボクシングは世界に通用しなかった。
何故なら、今回彼は負けていたのだ。
あれで勝てるのなら、ボクシングはスポーツではなくプロレスと同じショーである。
既にテレビ局では年末のタイトル防衛戦が決まっていた。
父親に対しても、戦う前から特別のチャンピオンベルトが用意されていた。

負けたとされてしまったベネズエラランダエタのコメントは潔かった。
日本への感謝を表明した後、「亀田はこの結果から人間的にも成長しなければならない」と指摘。
しかし、翌日の亀田の態度はそれまでと何等変化が無かった。

作られた英雄、亀田の強さは虚像だった。