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錦織圭選手敗戦のビジネス的見方

日本人、否、アジア人初めてのグランドスラム決勝進出。
今年のテニス全米オープン決勝は、それなりの思いを持って、テレビの前に座っていた。
放送はWOWWOW独占。
我が家はWOWWOW開局と同時に契約していたので、「先見の明あり」と内心自慢したくなる。

マスコミ報道も過熱状態だ。
しかし何よりも驚くのは、ここぞとばかりご相伴にあずかるテニス評論家の、何と多い事か。
そしてこの連中は、圧倒的な錦織有利の予想をばらまく。
決勝で戦うシリッチとの対戦成績が五勝二敗と勝ち越していて、今年は二連勝。
これで負けるはずがないような、楽観ムードが漂う。

NHKには、「何故放送しない」と、抗議が殺到したらしい。
日本が惨敗したサッカーワールドカップを中継しておきながら、錦織選手の快挙を放送しないとはケシカランとは、ほとんど八つ当たり気味だが、常日頃否応なく受信料を取り立てられている分、NHKへの風当たりは強い。
結局、付け焼刃のように、当日午後の録画放送を決めた。
また今回、金的を射止めた感があるWOWWOWは、新規契約者が殺到したらしい。
そんな日本中の期待を背負って、錦織選手の決勝戦が始まった。

結果は、何と惨敗。
敢えて言えば、開始早々シリッチ選手のサービスブレイクチャンスが唯一の見せ場で、後は鎧袖一触で負けてしまった。

すると、それまで勝利間違いなしと太鼓判を押していたはずの解説者連中が敗因を分析し始める。
ところがこれが揃いも揃って、まるで情緒的な代物でしかない。
杉山愛曰く、「対戦成績が勝ち越している錦織は、勝って当然との思いで緊張した。一方のシリッチは負けて元々の気楽さから、実力以上のモノが発揮できた。」
これが、一応はテニスで名を成した選手の解説なのだから呆れてしまう。

そもそもシリッチが、負けて元々と思っていたなんて、誰が信じるだろう。
彼は自分が絶対に勝つと信じていただろうし、その為の準備に万全を期していたはずだ。
今回錦織が惨敗したのは、この日の実力がシリッチに及ばなかっただけなのだ。
無論、シリッチの弾丸サーブは、日によって出来不出来が大きいかもしれない。
しかし全米オープンの晴れ舞台で、日頃よりも成功率が高いサーブを連発したのは、偶々のマグレでもなんでもない。
今回の決勝戦では、シリッチが一番強くて、錦織は二番手だった。
そんな現実を、受け止めないといけない。

錦織の勝利間違いないと思ってWOWWOWと契約した人や、批判の多さに慌てて録画放送を決めたNHKには、わずか二時間で決着がついたこの試合は全くの拍子抜けの結果になった。

錦織のユニフォームを提供しているユニクロは、今回の快挙に一億円のボーナスを出すらしい。
日本中を歓喜の渦に巻き込み、ユニクロ錦織バージョンは売切れ状態らしいから、ユニクロが大喜びしているのは容易に想像できる。
しかしこれは、あくまで国内だけ。
国際的には、優勝したシリッチと、二位の錦織では評価に雲泥の差がある。
当然ユニクロの認知度にも、大きな影響が出る。

錦織がグランドスラム決勝まで歩を進めたのは、日本人の誇りになる。
しかしそこで、彼は勝てなかった。
これこそ、次の大課題だ。
二位でも国内では評価が高いが、二位では国際的には間もなく忘れ去られる。