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中越沖地震 リケンの工場稼働再開に??

またしても大きな被害を引き起こした中越沖地震
自然災害の恐ろしさを改めて痛感させられた。
その中で、意外にも事の深刻さを浮き上がらせたのが、知る人ぞ知るだが、ほとんど無名に近かった新潟県柏崎市の自動車部品メーカー「リケン」の存在だ。
詳細を知っているわけではないが、なんでも小さな自動車部品の日本でのシェアが70%近く高いらしい。
今回の地震でこの工場の稼働が止まってしまった結果、何と日本を代表する自動車会社の生産ラインがことごとく止まってしまった。
今年上半期でついにGMを抜いて、販売台数世界一の自動車メーカーとなったトヨタも例外ではない。
そして、自動車メーカーでは、未だに生産再開の目処が立っていない。

リケンの工場再開を促す為に、自動車会社は、トヨタが300人、ホンダ他も含めると700人と続々に助っ人を柏崎に送り込んでいる。
その甲斐あってか、リケンは、23日から工場を再開すると発表した。
すると、柏崎市当局はこれを全面的に支援し、工場で大量に水を使用するリケンの為に、急きょ壊れた水道管を優先的に修理する様がニュースで流されていた。
この事は、いかにリケンなる会社が重要な存在かを示している。

しかし、この話には少し違和感を持ってしまう。

確かに、自動車メーカーにとって、たった一部品の調達が出来ない所為で、すべての生産ラインが止まっている状況は大変な事態なのだろう。
元々、自分は在庫を全く持たない「カンバン方式」で、実質的に下請けメーカーにコストを押し付けている日本の自動車メーカーは、その競争力で空前の利益を計上し続けている。
しかし、これは両刃の剣でもあり、いったん事があれば、今回の様な緊急事態となってしまう。
よって、トヨタをはじめとして自動車メーカーは、全ての部品を複数購買し、徹底的に競争させながら安定調達も達成する、一挙両得の方策をとっていたはずだ。
これが、自動車メーカーの競争力の源のはずだったのに、リケンの様に、他社の追随を許さないような高度な品質の部品には、その原則が適用されていなかったらしく、世界中で注目されていた「トヨタ生産方式」の盲点だったようだ。

今や、自動車産業は、あらゆる産業の頂点にあり、いつまでも生産ラインが止まっている悪影響が日本中に及ぼす事は理解できる。
しかし、この地震で被害を受けているのは、何もリケンだけではない。
自動車の生産復活が遅れても、命に関わるようなことはないと思うが、着の身着のまま、集合住宅で不自由な生活をしている人たちの方が、被害の程度としては深刻だろう。

そうであれば、柏崎市当局も、リケンを特別視するのではなく、むしろ避難所で困っている老人対策を急ぐべきだったのではと思ってしまった。