昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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片山右京とカルネアデスの舟板

片山右京だけが富士山遭難から生還した。

同行していた友人二人の遺体が発見され、最悪の結末を迎えてしまった。
山登りの趣味の無い当方には、冬の富士山の恐ろしさは分からない。
だから片山右京の話から冬山を想像するしかないのだが、強風でテントが吹き飛ばされたとすると、素人にもその恐ろしさと悲惨さは分かる。

片山によると、強風の冬山で一人は突然泣き出した後死亡、もう一人もパニック状態になった後死亡したと言う。
ただ別に、「自分一人では助けられないので、二人を置いて来るという判断をした。何度も一緒にヒマラヤに登った仲間なので信じている」と話したとの報道もある。 
片山が下山を決めた時に、実は他の二人は生きていたのか死亡していたのかは分からないが、いずれにしても片山は、一人で下山する事を選んだ。
そして翌日、残った二人の遺体が発見された。

これは、生き残った片山も、死亡した二人の遺族も辛い。
山登り仲間の一人は、「片山のとった行動は正しい」と擁護していた。
確かに、体力が残っている片山が二人と一緒に残っていたら、三人とも全滅したかもしれない。
と理屈では分かっても、「見捨てられたのでは」との思いは消えない。

法律的にも「カルネアデスの舟板」に該当するだろう。
難破船の一人の乗組員は、やっと一枚の舟板につかまる事が出来た。
そこに、もう一人の乗組員もその舟板にすがりつこうとする。
二人になると、舟板が沈んでしまう。
だから最初に舟板につかまっていた乗組員は、後から来た乗組員を突き飛ばして水死させた。
その後の裁判で、この乗組員は無罪となった。

法律では問題がなくても、仲間は死に、一人だけが助かると、関係者はなかなか割り切れるものではないだろう。
危険な冬山など、登らない方がいい。