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上念司の自己批判を批判する

昨年11月からの米大統領選を巡って、日本でも論争が生じた。

本当の勝者はバイデンかトランプかで意見が分かれたのだが、その典型が虎ノ門ニュース出演者間の意見の齟齬だ。

そして虎ノ門ニューススポンサーのDHCは、バイデンは不正選挙の結果当選したもので、実際の勝者はトランプと主張する百田尚樹、有本香に与し、反対派の急先鋒、上念司を番組から追放した。

上念は、虎ノ門Nだけではく、DHC関連の全番組から追放された。

ところがその後のアメリカは、それまでの大騒ぎなどなかったかのようにバイデンが大統領に就任し、何事もなかったかのように政権が運営されている。

百田や有本が力説していた「バイデン政権になれば中国が跳梁跋扈し、世界が終わる」などの兆候はない。

むしろバイデンは、対中国強硬姿勢を強め、日本との外交を重視している。

今までのところ、虎ノ門Nの思惑や百田、有本などの虎ノ門N主流派の見解は大外れだ。

 

上念は、米大統領選挙で上念と同じ主張をしていたケント・ギルバードやKAZUYAなどと連携して、米大統領選認識派を結成して、米大統領選で謀論論を展開した百田たちに反撃を開始した。

当初は百田たちの親衛隊に攻撃され孤立感があった認識派だが、百田の意見が余りに荒唐無稽で現実離れしていたので、虎ノ門Nや自身の有料チャンネルの視聴者が激減してきた。

今では、相変わらず米大統領選を論じるのは認識派だけで、陰謀論派はひたすら沈黙し、人々が忘れ去るのを待っている状態だ。

 

また番組をクビになって、暇ができた上念は、YouTubeで得意の話術を使って「勝手に副音声」を立ち上げた。

ヒダリがかった「サンデーモーニング」や「羽鳥慎一モーニングショー」と同時進行の裏番組を放送するのだが、これが大変面白い。

何があっても生き延びる能力があるオトコと思わしめる、上念司の面目躍如だ。

 

ただそんな上念にも、脛に大きな傷があった。

それは彼がこの間、徹底的に批判してきた陰謀論に、彼自身が片棒を担いでいたことがあるからだ。

それが北朝鮮最高指導者、金正恩死亡説だ。

それまでも健康不安説が絶えなかった金正恩だが、一年前に「死亡が確認された」と騒ぎにになった。

この時の火付け役は、主として篠原常一郎と李相哲。

このころの上念は、篠原と近しく、篠原経由の情報を頭から信じ込んでいた。

その後、金正恩は何度も北朝鮮メディアに登場するが、その度に上念は「金正恩は二年前に死亡しているので、これは替え玉」と主張していた、

 

その上念が、ここに来て突如YouTubeで「金正恩死亡説を撤回して謝罪」した。

「間違っても知らぬ顔の人もいるが、僕は間違いは速やかに撤回する」とは、如何にも上念らしい言い草だが、これが百田、有本などの陰謀論者への当てこすりなのは言うまでもない。

動機は別としても、自己批判はそれはそれで評価するべきなのだが、ただその時の理屈は大いに首をひねりたくなる。

 

上念は、金正恩死亡説の立証責任は言い出しっぺの自分にあり、根拠となったのは

・(金正恩の)雲隠れ

・(金与正への)権力移管

・(異父兄)金正哲の帰国

の三点だったと言う。

 

何とも分かり難いが、

・自分は根拠もなく金正恩死亡説を流したのではない

・根拠の上記三点は、現状では「二敗一分け」

・だから、金正恩が死亡しているとの立証責任が果たせない

・よって、金正恩死亡説は間違っていた

との説明だ。

 

要は、実際は詐話師に過ぎなかった篠原常一郎を当時は信用していていただけなのに、それをくどくどと持って回って言い訳しているに過ぎない。

その篠原は、米大統領選でもわざわざ現地に飛んで、飽きもせずにホラ話を流していた。

上念が本気で自己批判するのは、こんな篠原を信用して誤情報を垂れ流したことの方だ。

上念の失敗は、人を見る目がなかったことだ。

上念は、誤りを認め自ら糺す姿勢で一見潔さを装っているが、それが真の反省でない限り、同様の失敗を繰り返すことになる。