昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

便利さの落し穴

昨日から、一週間の予定で妻は里帰り。
入院中の義母を見舞うためだ。
義母はあと一か月で99歳、白寿になる。
耳が聞こえないとか、目が見えないとか、体調に関しては不満が絶えないが、頭の方は明晰そのもの。
一般的には年齢と共にボケるし、僕なんかは若い頃からボケていた。
しかし義母は、未だに記憶は定かだし、世相への関心も高い。
身内ながら、スーパーおバアチャンだ。

里帰りの妻を、駅まで車で送る事になった。
ところが車の発進直前に、妻が忘れ物をしたと言い出した。
そこで、彼女に家と車の鍵が付いたキーホルダーを渡す。
我が家の車は、鍵を差し込むスタイルではなく、ポケットに入れておくタイプなので、こんな時に一々エンジンを止める必要がない。
大変便利だ。

妻は暫く、「アレない?!」とか言ってモタモタしていたが、結局は最初からバッグの中に入っていたとのオチがついて、やっと出発。

駅で「ジャァ、おバアチャンに宜しく」とか言って別れ、しばらく走ると車からピーピーと異音が出ている事に気が付いた。
画面を見ると、「キーが離れています」と警告している。
一瞬、頭が真っ白になった。
車の鍵は、妻が持ったままなのだ。
慌てて携帯をかけるが、「この電話は電波の届かないところか、電源を切っています」と、無情な機械音しか返ってこない。
このままでは、一旦車が止まると使用不可になるし、第一家に入れない。

脱兎の勢いで駅に取って返し、違反区域にも構わずに駅前に駐車。
一銭もないので、駅員に事情を話すと、快くOKが出たので、ホームの階段を駆け下りる。
そこら中を走り回って探すが、妻がなかなか見つからない。
そうこうしている間に、電車が入ってきた。
万事休す!
大恥覚悟で、イヨイヨ妻の名前を大声で呼ぶしかない、と覚悟を決めた瞬間、駅の階段下にいた妻を発見した。
ゼイゼイと息も絶え絶えの状態だったが、何とか、やっとの事で家と車のキーを取り戻した。

ポケットに入れたままクルマを運転できるキーシステムは大変便利だが、大きな陥穽もある。
冷や汗をかいた瞬間だった。