常日頃は、別段「自分は日本人だ」とかを、大上段に振りかぶって考えることはない。
しかし昨日の日曜日は、そんな愛国心に溢れた想いでテレビを見ていた。
何でも10年ぶりに、日本出身の相撲取りが優勝するかもしれなかったからだ。
10年と言えば、随分と長い。
思えばこのブログを始めたのが、何と10年前なのだ。
相撲は日本の国技!とか、神事とか、したり顔で解説していた相撲評論家たちは、その間一度も日本人が優勝していないことをどう思っていたのだろうか。
ほとんどの場所で、朝青龍や白鵬、日馬富士のモンゴリアンレスラーたちが優勝しているのに、やれ懸賞金の受け取り方がおかしいとか、左手で手刀を切ってはいけないとか、日本の国家神道を持ち出して説教しても、説得力がないのは当たり前だ。
そんな長い長い冬の時代が、昨日の琴奨菊の優勝で、やっと一息つけた。
日本人力士の優勝など、ほとんど諦めていただけに、昨日は大興奮の一日だった。
尤も今後のことを考えると、決して安閑とはしていられない。
琴奨菊の優勝に続くような、威勢の良い本格派若手力士はなかなか見当たらない。
しかしこの10年間でシッカリ免疫ができたので、仮に後10年間日本人の優勝がなくても大丈夫。
次の日本出身力士が優勝するころには、こっちは死んでいるかもしれない。
それほど昨日の、琴奨菊の優勝は快挙だ。
それにしても果たして場所前に、琴奨菊の優勝を予想した人が何人いるだろうか?
長期に亘って、大関の地位を守るだけで汲々としていた力士だ。
この二年間だって、負け越しているのが三場所もあるし、他にもやっと勝ち越した場所が直近の冬場所も含め、何と四場所。
しかしそんなトレーニングは、一年前からやっていたらしいので、今回の優勝の直接原因とは考えにくい。
結婚して精神的に落ち着いたことも、特筆されていた。
美人の嫁さんが登場して、仲睦まじいシーンも紹介されていたが、こちらも披露宴が今週末なだけで、結婚そのものは半年以上前。
後からとってつけたような解説や報道よりも、一番感激するのは豊ノ島とのやり取りだ。
しかしその直後のインタビューでは、「先を越されて悔しい」と、正直な胸の内を語った。
13日目の直接対決でも、「絶対に引きずりおろす積りだった」と、ライバル意識丸出しだ。
一方優勝した琴奨菊もまた、「小学校以来知っているので運命的なものを感じるが、絶対に負けたくなかった」と潔い。
ライバル同士は、こうあってほしい。
空虚な褒め言葉を羅列するよりも、「次は俺が勝つ」と表明してくれる方が、聞いていて気持ちが良い。
それに比べ琴奨菊は、怪我こそ多いが、その分苦労人で、若手の見本にもなっている。
そんな風説は。無視するに限る。