僕は面倒くさい政治案件については、自分なりの簡便法で判断することにしている。
それは「民進党が反対したら全部賛成、民進党が賛成したら全部反対」の立場をとることだ。
要は民進党前身、民主党時代から、この政党の主張は全部間違いと割り切り、その逆張りをすることにしている。
その段で行けば、民進党が反対している以上、TPP法案には賛成しなければいけない。
しかしこのTPP法案には、自民党議員の多くも反対、若しくは懸念を表明している。
この連中は、自分の選挙区の事情があるのだろうが、与党が全面的に推進、野党は何でも反対する、一般的な法案ではない。
しかし、途中で担当大臣の山本有二が大チョンボ発言を連発し、採決が遅れてしまっていたが、マァそれでも、一次産業の団体からは反対意見があるものの、経済界は何となく賛成しているし、野党が少々抵抗の振りをしても、結果的にはこの法案は成立するのだろうと思っていた。
不思議なことに、ヒラリー・クリントンもドナルド・トランプもTPPには反対らしい。
しかしヒラリーは当初は賛成していたので、選挙の過程で反対と言っていても、最終的にはTPPに賛成すると言われていた。
一方のトランプは、TPP絶対反対で、大統領に就任したらすぐに脱退するとまで話していた。
そこにアメリカ大統領選挙の、大番狂わせが起きた。
トランプが当選したのだから、アメリカがTPPに参加する可能性は限りなくゼロになったらしい。
日本から見れば、はしごを外されたようなものだ。
もともと日本でTPPに反対するのは、
・日本の産業は、アメリカの巨大企業に蹂躙され、一部の技術力の高い企業以外は衰退する
だったはずだ。
またISD条項によって、外国企業に訴訟された日本側は莫大な補償金を取られるとも言われていた。
ならばアメリカ側がTPPに反対するはずがない。
ところが今回の大統領選挙では、トランプは大反対だし、TPPを強烈に推進してきたオバマ大統領の後継者、クリントンまで反対に回っている。
これはアメリカ全土で、TPP反対の勢いが増していることを表している。
しかもアメリカがTPPに反対する理由として挙げているのは、まるで日本の反対意見の裏返し。
アメリカの企業が衰退するとか、果てはISD条項で訴訟に巻き込まれとか言っている。
これではTPPは、日本にもアメリカにも全く利しない条約になってしまう。
アメリカのオバマが必死になってTPPを勧めようとしたのは、アメリカに都合がいい条約だからだろう。
しかしそれが見方を変えるてトランプ大統領になると、アメリカに仇を成す条約と様変わりする。
これはおかしいし、そんなはずはないだろうが、大統領が何を重要視するかで方針が180度変わってしまうのが実態だ。
どっちかが間違っていて、どっちかが正しいと言う訳でもなさそうだ。
日本はアメリカに強要されて、渋々TPPへの参加を決めたが、当たり前のように賛否両論が沸き上がった。
アメリカの趨勢が不透明になっているのに、行き掛り上日本ではTPP条約を成立させてしまった。
小泉進次郎は、「ひょっとしたらトランプの考えが変わるかもしれない」と話していたが、それは苦しい言い訳だ。
マァ、アメリカが参加しない以上、TPPは成立しないし、日本も少し見っとも無いが、実害が発生するわけではない。
かくなる上は、ドナルド・トランプ新大統領ののお手並みを静観しておくしかない。
しかし僕は、アメリカがこんなにTPPを嫌がるのなら、それは日本にとっては都合の良い条約だったのかもしれないと思い始めている。