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中国の香港介入は国際社会への挑戦

中国政府が香港に対して、国家安全法の適用を決定した。

第13期の全人代で圧倒的多数の賛成を以て決定したが、何と反対票が1票あった。

反対したのは誰だろうと思うが、恐らく間もなく逮捕され、強制労働と言う名の拷問部屋送りになるに違いない。

それでも賛成2878票に対して、たった一人だが、中国共産党にも良識派がいることだけは分かった。

 

この国家安全法は、一国二制度で認めた香港の「高度の自治体制」を否定するものだ。

即ち、香港を中国に組み込む際の国際的約束事を、完全に反故にするものだ。

早速アメリカからは重大な懸念が表明され、明日は我が身の台湾も、蔡英文が「座視しない」とコメントしたが、これは当たり前だ。

何故なら、実際にこの法案は、中国共産党の民主主義への挑戦状だからだ。

 

しかしそもそも冷静に振り返れば、イギリスの無責任政策の帰結でもある。

イギリス帝国主義植民地主義破綻の最終仕上げが、香港の中国への返還だった。

民主主義を満喫していた香港にとって、共産主義体制へ組み込まれることへは、当然ながら強い抵抗がある。

それをごまかすために用意されたのが、当時の鄧小平が言い出した「一国二制度」だ。

中国は、「香港が中国に所属しても、香港の自治は守る」と舌先三寸の約束で、香港と国際社会を騙し、予定通りにイギリスから香港を召し上げた。

 

しかし、一国二制度などは、所詮はできもしない美辞麗句でしかない。

民主主義と共産主義は不倶戴天の関係なので、共存などありえないのだ。

民主主義が民主主義であるためには、主権は国民にあり、選挙による国民の意思表明が最終最高の方針決定手段でなければならない。

一方の共産主義は、あくまで共産党独裁による国家運営しか認めない。

仮に、共産党独裁下で選挙が実施されても、それは不正塗れであり、国民のガス抜き手段しかないことも歴史が証明している。

 

そんな全く相矛盾した二つの制度が、一つの国に共存できるはずなどあり得ない。

しかしイギリスと中国は、そんなバカげたやり方を大々的に発表した。

その結果香港では、ことあるごとに中国政府の干渉に反発したが、中国は時間をかけて香港の自治権を取り上げ続けてきた。

その集大成が、今回の中国による国家安全法の香港適用だ。

この法案で、香港の自治は完全に破壊される。

欧米諸国は「香港の自由が侵される」などと、今更ながら平和ボケした世迷いごとを言っているが、これこそ共産主義国家、中国の本性が現れたに過ぎない。

香港は終わるのだ。

 

今回の中国のやり方を、民主主義国家は絶対に受け入れてはいけない。

しかし中国との経済交流を重視する勢力は、中国に積極的に賛同するか、少なくとも反対のための具体的行動はとらない。

唯一アメリカはトランプ大統領は、国内で香港人権法案を成立させ、今後は対中国の経済制裁にまで踏み込むようだ。

 

この問題は、経済面から判断するべきではない。

共産主義全体主義の、民主主義への挑戦なのだ。

共産主義全体主義の存在は、民主主義にとっては敵であり、脅威でしかない。

その共産主義全体主義が、それまでの衣を脱ぎ捨て、鎧を丸出しにして、民主主義体制の圧殺に舵を切ったのが、香港への国家安定法適用の押し付けだ。

この中国の政治姿勢の是非は、経済よりも優先して判断するべきなのだ。

 

中国の共産党支配体制は、世界に武漢肺炎パンデミックを発生させた。

その結果、世界経済は壊滅的ダメージを受けた。

それでも尚、経済的理由から、今の政治体制のままの中国と付き合いたい国がある。

そんな連中がいる限り因果応報で、世界はいずれまた、中国が原因の国際矛盾に直面し、筆舌に尽くしがたい苦しみを味わうことになる。

ここで一歩譲ると、後に民主主義は、百歩の後退を余儀なくされる。