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トランプ大統領の危うさ

ドナルド・トランプが、正式にアメリカ第45代大統領に就任した。
今までアメリカ大統領就任式なんぞまるで興味がなかったが、今回だけは眠い目をこすりながらライブで観た。
トランプの所信演説に、興味があったからっだ。
 
アメリカでは新大統領の就任式は、国家を挙げた一大イベントで、過去には今に至るまで語り継がれる名演説があったらしい。
リンカーン.の名演説は、生まれる前なので伝説として聞く話だ。
ケネディの演説の時は中学生だったので、政治にはまるで興味がなかったが、今でも折に触れ紹介される。
最近ではオバマだが、彼の大統領としての業績は全くパッとしないが、演説だけは評価が高かった。
 
トランプに関しては、経営者としての才能や業績は多く語られているが、当初は泡沫候補扱い。
大統領選挙の間は、人種差別主義者とかセクハラ問題発生とか、散々な評価しかなかったが、世紀の大番狂わせで勝ってしまった。
普通なら、ここでノーサイド
ヒラリー・クリントンを応援した勢力も大人の対応で、トランプの舵取りぶりを静かに見守るはずだが、今回に限っては様子が違う。
その後も、トランプ支持派と否定派は、あらゆる場面で角を突き合わせ続けている。
要は、アメリカの国論が真っ二つに割れた状態のまま、大統領就任式に至ったのが現実だ。
就任式当日に千件以上の反トランプデモが発生するなど、極めて異例で異常な状況になっている。
そんな中で果たしてドナルド・トランプは、就任式で何を語るのか?
二分され対立する国論を、一つにまとめることが出来るのか?
そんな観点から、柄にもなく就任演説をライブで聞きたいと思った。
 
様々な前座の催し物が終わり、午前2時頃、就任宣誓が終わった主役のトランプが演説を始めた。
トランプの英語はTwitterを読んでも分かりやすいが、同時通訳が入るとついついそっちを聞いてしまう。
トランプは相当入念に準備してきたはずの原稿内容を、身振り手振りを交え発表している。
彼にとっては一世一代の晴れ舞台だろうが、しかし聞いていて、全く感動しない。
卑しくもアメリカ大統領になったオトコの、世界に向けた所信表明だ。
その高揚感が言葉になり、世界中の聴衆の心を打つ演説になるかもしれないと期待していたのに、まるで肩透かしを食った想いで聞き続けた。
トランプが声を張り上げたのは、アメリカの内政に関してだけだ。
突き詰めれば、「Buy America, Hire America」に尽きる。
言ってみれば、凡庸な会社社長の、凡庸な就任挨拶と一緒のレベルでしかない。
僕は今まではトランプを、「オモロイ親爺が登場した」と好意的に見てきたが、それも就任演説を聞くまでだった。
アメリカの現状はこんなにも弱り果てていたのかと、聞いていて情けなくなってしまった。
 
トランプは数値、それもアメリカの利益しか見ていない。
アメリカがお節介にも世界に広げようとした、民主主義の大義など、トランプの頭の片隅にもない。
アメリカが世界に押し付けたグローバリゼーションも、今までの同盟諸国との連携も、今後はアメリカの損得で判断される。
アメリカの傘の下で国防を疎かにしてきた日本や韓国は、アメリカのこの変節は由々しき事態を招く。
 
しかしこの極端に内向きな保護主義を掲げたトランプ改革は、決して先行きが明るい訳ではない。
そもそもアメリカから雇用が逃げたのは、アメリカのコストが高いからだ。
それを脅迫的言辞で、アメリカに雇用を取り戻しても、高コスト体質が改善されない限り競争力はない。
またアメリカがモンロー主義鎖国状態になっても、国内だけの経済で全てが賄えるわけでもない。
結局は、グローバル社会に戻ってくるしか、国家として生き残る事はできない。
Buy America, Hire America」と「America first!」だけでやり繰りできる部分は、極めて小さいものでしかないからだ。
何とも時代錯誤なオトコがアメリカ大統領になったものだが、そんなオトコを選ばざるを得ないほど、アメリカは弱体化していると見るしかない。
 
最後に16歳のジャッキー・エヴァンコが国歌斉唱したが、お世辞にも上手とは言えなかった。
有名歌手に次々とオファーを拒否された結果の人選らしいが、同じ年齢なら日本の森昌子の方が上手かったのではないか。
こんなところにも、アメリカの弱体化を感じしてしまう。
最早アメリカは頼りになる同盟国ではなく、日本は自分で自分を守らなければならない状況だ。