何せ、全く一文の得にもならないのに、特定の個人やチームを必死になって応援する。
イギリスには、悪名高いサッカーのフーリガンがいる。
自分の贔屓チームを応援するために、なけなしの金を叩いて世界の果てまでついていく。
贔屓チームが勝っても大騒ぎ、負けでもしようものなら暴動事件まで引き起こす。
世界中の嫌われ者だ。
ここまで特異な行動をとると、社会学者当たりの研究対象となる。
何でも、社会に対して言い知れぬ不満を抱えた連中が、憂さ晴らしのために贔屓チームを利用して暴力行為に及ぶらしい。
暴走族やチーマーとも一脈相通じる、不満分子の集合体のようで、各国では法律で活動を規制されている。
日本の場合は、そこまで激しいファンは少ないが、それでもサッカーでは各チームともサポーターと称する応援団を抱え、時としてトラブルを引き起こしている。
一方、野球にもファンの団体が存在する。
昔は巨人が圧倒的な人気集団だったが、最近は様々にチームが地方に進出し、「オラが町の球団」として、巨人に負けないほどの私設応援団を抱え始めている。
外野席の一部は、こんな応援団の為の舞台みたいで、試合そっちのけで騒いでいる。
とりわけ阪神タイガースの応援団は有名で、勝っても負けても熱狂的だ。
しかしこちらは、フーリガンのような破壊行為に及ぶわけではなく、精々喜びの余り道頓堀に飛び込む程度なので、お叱り程度の処罰で済む。
そしてそのプロ野球では、2月1日がキャンプインの日。
それまでは自主トレと称して、こっそり遠慮気味に練習していたものが、ここから公にチーム単位の練習になる。
するとまるで不思議なことだが、ケーブルテレビの各々の局がそれぞれに、お抱えチームのキャンプ風景を実況中継する。
現時点では全くの練習だし、当然ながら試合形式には程遠い。
いくら自分の贔屓チームと言っても、こんな段階の練習風景を長時間に亘って見ても、何一つ面白くはないのではないか。
そんなことを友人に話したら、猛烈な反論を食った。
彼曰く、「本当のファンなら、キャンプの初日から戦力分析をするもので、特にドラフトやトレードで獲得した選手は、期待通りの動きをしているか、ピッチャーの仕上がりは順調かなど、期待八割不安二割で注目処満載」らしい。
彼はシーズン中は、贔屓チームが勝つと、夜中のスポーツニュースを梯子で観るので眠くて仕方がない」とコボす。
マァ、何とファンとは有り難い存在なのだろう。
ただ、別段どのチームにも思い入れのない当方は、見たいテレビ番組がなくなるので不満で仕方がない。
とりわけ、最近は地上波テレビをほとんど見なくなっているので、ケーブルテレビは貴重な暇潰し手段だった。
それが長時間に亘って,動きが極端に少ないキャンプの画面ばかりでは、全く面白くない。
野球のキャンプなど、早く終わってほしいものだ。