さっそくテレビは彼女の一挙手一投足を追っかけ、やれ「可愛い!」だの、「物おじしないナオミ節」などと騒ぎ立てている。
しかし彼女は、スポーツ選手であって、芸能人ではない。
「抹茶アイスを食べたか?」とか、「何か日本語で」とかは全く不要な質問だろう。
僕はライブで、大坂なおみの全米オープン制覇の瞬間を見ていた。
テニスそのものは、セレーナ・ウィリアムズの自爆行為の方が注目されてしまったが、試合内容は大坂選手が圧倒していた。
今年の全米オープンは、男女共に日本人が活躍したが、残念ながら錦織圭は準決勝で敗退したので、大坂選手の優勝は殊の外うれしかった。
しかしネット社会では、大坂選手に対して複雑な反応を見せていた。
最大多数の意見は、「日本人初のメジャー制覇を誇りに思う」ものだったが、「大坂選手を日本人と呼ぶのは違和感あり」の意見も散見された。
これは多分に、彼女の肌の色に黒人のDNAが強く出ている容貌と、彼女の日本語が極めてタドタドシイことに起因しているのだろう。
未だに外国人に慣れていない日本人には、大坂選手が日本人だと言われてもなかなかシックリこない感覚が残っている。
日本人には、ステレオタイプの外国人と日本人の見分け方がある。
チビで平板な顔の日本人に比べ、外国人はやたらとデカく、顔の彫りが深い。
肌の色は、見た目ですぐに分かるほど色白か、はたまた黒か褐色。
そして外国人は全員、妙なアクセントをつけたタドタドシイ日本語を喋る。
流暢な日本語を操った、その昔のロイ・ジェームスは「ヘンな外人!」と呼ばれた。
(尤も外観は外国人そのものだったロイ・ジェームスは、実は日本語しか喋れなかったらしいが)
そんな日本人の日本人感から見ると、大坂選手は外国人そのものだ。
僕は知らなかったが、国際的テニスプレイヤーは自分の国籍を届け出なければならないらしい。
大坂選手はそこで「日本人」を選択したので、全米オープン優勝後のインタビュアーも「日本人初の快挙」と、大坂選手を完全に日本人として扱っていた。
しかし彼女の実態は、二重国籍者だ。
他に父親のハイチ国籍も有しているかもしれないが、少なくとも日本と米国の二重国籍であることは分かっている。
彼女がテニスで日本国籍を選択したのは、その方が東京オリンピック出場が楽だからともみられている。
しかし全米オープンでセレーナ・ウィリアムズを鎧袖一触で退けた実力を見れば、今後はアメリカが積極的に大坂選手を囲い込むことが想像できる。
今現在は、日本人初の快挙と喜ぶのは何の問題もないが、大坂選手が国籍を選択した結果、「2018年には元日本人が全米を制覇した」と言われかねないのだ。
最近のスポーツ界では、外国人とのハーフの選手が活躍するケースが増えている。
陸上のケンブリッジ・飛鳥やサニブラウン・ハキーム、柔道のベーカー茉秋もそうだ。
ちょっと古いが、室伏浩二、室伏由佳だって、日本人とルーマニア人のハーフだ。
他に、韓国人、朝鮮人からの帰化人とかハーフとかは、五万といるはずだ。
国際化とか多様性とかが謳い文句となっている現在、もはや「純粋日本人」にこだわる時代ではない。
立憲民主党代表だった蓮舫は、自らの二重国籍問題を明確に説明できず、信用を失った。
その時のドタバタに懲りた所為か、大坂選手に対して「例外的に二重国籍を認めても良いのでは」との意見も見られる。
しかし例外措置には、必ずマイナス要素が付随する。
単純明快に、「日本国籍を有するのなら、その全員が日本人!」
拠って我々が為すべき焦眉の急は、大坂選手が来るべき一年半後に日本国籍を選択するように、大袈裟に言えば「官民挙げて」全力で働きかけることだ。