結果は、ペナントの実力差をそのまま出しきり、広島が高橋由伸監督の巨人を鎧袖一触で退けた。
僕は常日頃アンチ巨人であり、且つクライマックスシリーズなる競技方法に懐疑的なので、広島の勝利はそれなりに嬉しいが、今年に限ってはほんのチョッピリ巨人に頑張って欲しかった部分もあり、少々複雑な思いだ。
僕は、日本のプロ野球にとって、そもそもクライマックスシリーズなんておかしいと思っている。
セパ両リーグで、半年かけてペナントを争い、各々の一位チームが日本シリーズで戦う。
これが日本プロ野球の常識だったのに、各々の上位三位チームまで日本シリーズへの参加資格があるなんて、自ら日本シリーズの価値を損なうものだ。
そう思ってきたが、今やクライマックスシリーズは野球界にすっかり定着してきた。
ならば野球への興味を持たなければ良いと開き直り、最近では野球中継などほとんど見ない。
しかし今年の、特にセリーグのクライマックスシリーズに限っては、面白い見せ場があった。
それは高橋由伸監督が、巨人が三年連続ペナント優勝を逃した責任をとって、監督辞任することが決まっているからだ。
既に、原辰徳が後任監督に決定などのニュースが飛び交っている。
しかしもしも、高橋・巨人がクライマックスシリーズだけでなく、日本シリーズをも勝ってしまったら、一体巨人はどうするのだろうか？
そんな興味があり、生まれて初めてと言っていいくらい、巨人を応援していた。
そんな巨人は、セリーグ二位だったヤクルトに連勝。
一気に期待値が上がったが、しかし広島との実力差は半端ではなかった。
対広島の三連戦は、将に投打ともに完敗。
ペナント勝率五割も満たないチームが、日本一を名乗る事の矛盾点もまた、絵に描いた餅で終わってしまった。
日本の文化は、敗者を労わる。
退任が決まって以降の高橋由伸監督には、多くの解説者から若手育成で成果を上げたので、もっとやって欲しかったとのコメントが寄せられている。
しかしこの解説者たちは、シーズン中の高橋由伸監督の采配には様々な疑問を呈していた連中だ。
僕が巨人戦の中継を見るのは、巨人が負けている時だけだったので余計にそう思うのかもしれないが、高橋由伸監督は真面目な性格だが、宰相としての煌めきはなかったようだ。
負けた試合の後でも、必ず何かをメモした後、グラウンドに一礼してダグアウトを出ていく。
しかし彼が、血相を変えて審判に抗議したり、巨人の選手を叱咤激励する姿など見たことがない。
高橋由伸に、もう一度巨人監督のチャンスがあるのかどうかは分からない。
しかし、かって同じように巨人監督として失敗した王貞治が、ダイエーホークスの監督として大成功をおさめ、選手時代同様に監督としても球界に偉大な足跡を残した例に倣えば、何も巨人監督に拘る必要などない。
この三年間の無念さを晴らせるのなら、どのチームでもいいから監督を引き受けるとの姿勢で臨んでほしいものだ。
因みに余計なお世話だが、僕は今もってクライマックスシリーズは邪道と思っているが、一方ではここまで定着した制度なので、今更止める選択肢はないのだろう。
ならば、日本シリーズはペナントリーグ優勝チーム同士の勝負として、もう一つ、クライマックスシリーズの覇者を決めればどうだろうか？
その場合、日本シリーズとクライマックスシリーズが、全く同じチームの争いになるかもしれないが、それはそれで連覇かリベンジかで盛り上がる。
ペナントの価値を損なわず、興行的にも、且つ選手の実入りもプラスになる。
サッカーに押され人気低迷の野球界にとっても、悪い話ではないと思うが。
