昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ついに入院

6月から治療中だった心臓疾患について、ついにカテーテル手術に踏み切った。
ただ血管破裂や脳梗塞発症の、後遺症の恐れもあるとの説明があり、その点だけが不安だった。

本人が大騒ぎした割には、入院の日程はわずかに二泊三日。
入院した日は手術の準備で、点滴を受けるだけなので、退屈極まりない。
ただ短期間の入院なので、個室ではなく六人部屋にしたので、僕と同じか、僕よりも年寄りばかりの部屋が割り当てられたのが大失敗。
当たり前だが、同室は先ず全員が入院患者。
と言うことは五臓六腑のいずれかが故障しているので、五体満足なオトコはいない。

しかも僕もそうだが、年寄りで病人となると、周りへの配慮や遠慮の精神が、著しく欠落してくる。
僕の同室の患者は、まさしくそんな年寄りの集団。
イビキが大きいくらいは、未だ可愛い部類。
一人は、イヤフォンでテレビを見ながら、呵々大笑を繰り返す。
静かな部屋に、突然バカ笑いが響き渡ると、周囲はギョッとなる。
僕の隣のオヤジは、ドスの利いた濁声で喋りまくっているか、寝ているかなのだが、痰を切る咳払いが尋常ではないほど大きい。
しかも早寝早起きも度が過ぎていて、午前3時には目を覚まし、勢いよくベッドを囲むカーテンを開け、病棟内を歩き回り始める。
病人だから、すぐに疲れるのだろう、30分もしないうちにベッドに戻ってくると、今度もまた勢いよくカーテンを締める。
これを8時の朝食まで繰り返すのだから、周りは堪ったものではない。
僕は、わずかに二泊だから我慢できるが、長期間一緒の患者が文句を言わないのが不思議だ。

そんな入院患者にとって、わずかな楽しみと言えば見舞客と食事で、医者の往診すら待ち遠しい。
見舞いに訪れる家族を見ると、今回の同室患者の暮らしぶりが推察できる。、
今回の同室患者は全員、円満な家庭環境のようだ。
しかし、いくら家庭が上手く行っていても、病気の容体は別だ。
結構シリアスな人もいるようで、医者が往診に来て「手術は無理だから、しばらくこのまま様子を見ましょう」と説明していた。

翌日は手術を控えている僕だが、不思議にも緊張感はゼロ。
暫く入浴ができないので、この日はシャワーにトライしたが、左腕に点滴用の器具をつけているので、濡らしては拙い。
看護婦が、防水用にポリエチレンの袋を巻き付けてくれるが、こんな程度で効果があるはずがない。
よって左手を上にあげっぱなしのシャワーになるので、不自由極まりない。
右手だけでは体も充分には洗えないので、五分もしないうちに退出。

この後の夕食は一汁三菜にもならない、0汁二菜と麦飯に缶詰のデザート。
健康なら「こんなモノ、食えるカ!」とテーブルをひっくり倒しかねないが、入院中となると、「こんなご馳走、アリガタヤ、アリガタヤ」となるのが不思議だ。

食事が終わると、後はやることがない。
9時には部屋が消灯になるので、もはや寝るしかなくなる。
果たしてこんな環境で眠れるのか不安もあったが、案ずるよりも生むは易しで、いつも間にか熟睡していた。