昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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資本主義がダメだから共産主義ではないのですよ

FACEBOOKをやっていると、妙な人に出くわす。
「新垣修一」なる人物が、その一人だ。
写真を見ると、苦み走ったテンガロンハットのオジサン写真が張り付けてあるが、本人のものか、はたまた本名かどうすら分からない。
彼は、どちらかと言えば右派保守系グループの中で、10日に一度ほど明らかな左巻き理屈をアップし、そのたびに大炎上をはたす。
不思議なことに右派の連中も、この新垣氏を冷やかしたりバカにすることが大好きのようで、記事がアップされるたびに数百のコメントが殺到する。
フォロワーが400人を超えているが、その中には新垣氏をペットのように思っている右派系ネット民も多いと思う。
 
その彼が、
共産主義がダメだと言う人はその時点で経済を理解してないのがバレる。なぜなら資本主義が欠陥だらけだから共産主義が勃興したのであり、その歴史を理解していれば共産主義はダメで資本主義が良いとする安直な意見は出てこないからである」
との記事をアップした。
御多分に漏れず、一日で400コメントが殺到しているが、中には「おはよう、ガッキー」とか「今日もよろしく」とかもあり、相変わらずの人気ぶりだ。
 
新垣氏の意見の大半は、このような極端な飛躍があるので、まともに論評するまでもない幼稚なモノだが、「共産主義がダメで資本主義が良いとの安直な意見」とまで言われるとさすがに突っ込みたくなる。
では「、共産主義で成功した国は、具体的にどこですか?」、と。
前段の、「資本主義が欠陥だらけ」と「だから共産主義が勃興した」のは、部分的だが正しい。
確かに利潤追求が最優先の資本主義は、弱肉強食、優勝劣敗を進め帝国主義化し、南北問題を引き起こした。
そのアンチテーゼとして、共産主義が期待された時期があった。
実際に1917年ロシア革命に始まる世界共産主義は、一時的に若者の支持を得たが、その後ソ連の崩壊を機に一気に世界的レベルで凋落してしまった。
 
人間は、競争のない社会では働かない。
自分が挙げた成果を、何もしなかった隣の人に無条件で譲り渡したりはしない。
ソ連コルホーズ、ソホーズ、中国の人民公社カンボジアポルポトの原始共産主義など、その試みの全ては、それまで人類の発展、進化を遂げた人間の競争意識を無視した、単なる空理空論でしかなかった。
そんな人間臭さを、思想で縛り付けることができると考えた共産主義は、矛盾点だらけの理想論だったのだ。
しかも共産主義では、自由闊達な議論を容認すると中には反革命思想が混じるので、「歴史の歯車を逆回しする」ヤツは粛清しなければならないと、人民を徹底的に管理する。
それは、先に目覚め選ばれた先駆者、共産党員の役割となるので、言論の自由など何よりも最初に剥奪される。
またこの結果、共産党員が少数エリートの特権階級になり、利権をむさぼり、堕落し、人民の信頼を失う。
共産主義が平等社会など全くの幻想で、実態は世界のどこよりも酷い階級社会と化していた。
全ての共産主義国家は、このような悪循環の中で崩壊し、今日ではマルクスが唱えた共産主義国家は皆無だ。
 
あらゆる思想に完璧なものはない。
資本主義もそうだし、民主主義もそうだ。
だから悪い部分を修正し、少しでも良い社会を目指すのは当たり前だが、自由を奪われ、共産党員以外の誰一人幸福になれない共産主義を受け入れる人たちはいない。
マルクスが唱えた共産主義は、格差是正や弱者救済など、実は資本主義の矛盾解消の一翼を担っている。
世界中で革命が起きることを夢想していたマルクスは、乾坤一擲の思いで提唱した共産主義が、資本主義の延命に役立っている皮肉に、墓の下で泣いているだろう。