何となく、何となくだけど、武漢肺炎の終息ムードが高まってきた。
毎日発表される東京都の感染者数も、このしばらく100名以下だし、最近では50人にも至らない。
全国的にも似たようなもので、間違いなく一か月前の悲壮感は消えた。
しかもこれは、日本だけではない。
フランスやドイツは、外出自粛の大幅緩和を発表している。
感染者数も死亡者数も世界一のアメリカでさえ、ニューヨークの患者数に一服感が出ているので、元々経済最優先のトランプ大統領は、経済活動再開に舵を切りそうだ。
マァ、自粛、自粛が続き、閉塞感でストレスが昂じ、経済的にも大きなダメージが派生してきたので、「ここはパッと行きましょう」の気分も理解できる。
しかしその結果、武漢肺炎が再度パンデミックになったら元も子もないので、うがい、手洗い、三密防止の気配りは重要だ。
それでも、もうすぐ昨年までの日常に戻れるとの期待があれば、我慢のし甲斐もある。
学校も、5月中には大半が再開されそうだ。
3月に急に学校閉鎖が要請され、三か月間はガキどもが家にいたことになる。
春休みがあるから、実質的には2か月半の授業に穴が開いた。
ここで急に、9月新学期論が沸き上がった。
しかしこの説も、海外では9月新学期が主力だ程度の根拠しかない。
また、どうせ授業に遅れが出たのなら、いっそ9月新学期になれば、不公平感がなくなるとの意見もあった。
しかし過ぎ去った時間を放置すのではなく、やはりその分は、補修を重ねて遅れを取り戻さないと、最終的には日本の学力、国力、延いては国益を損なう。
ここで、教育の空白を前提に、話を進めるのはマズい。
仮に新制度を導入するにしても、到底準備の時間が足りないとの反対意見も強い。
そうこうしているうちに、全国的には遅くとも6月に学校再開が可能となると、9月新学期への制度変更論は消えてしまう。
後は、二か月半の授業遅れを、どうやってリカバリーするかの問題になる。
別に9月新学期説には絶対反対ではないのだが、制度の大改革をドサクサ紛れに強行すると、後に必ず歪みが生じる。
それより、営業自粛してきたサービス業に、客足は戻るのかが重大だ。
教育はやり方で穴埋めができるが、この間で凹んだ売上げは、二度と戻っては来ない。
緊急事態宣言で、特に飲食店やバー、スナックは壊滅的な打撃を受けている。
一旦遠のいた客は、武漢肺炎再燃の恐れを押してでも、外で飲食をするだろうか。
結論としては、税金投入で危機を乗り切るしか方法はない。
日本だけでなく、世界中が武漢肺炎で大迷惑を被った。
アメリカは武漢肺炎の発生源、中国に対して、数百兆円の賠償請求を考慮していると言われるし、ヨーロッパの中にも追随する国が現れそうだ。
このまま武漢肺炎が終息に向かっても、熾烈な国際政治の駆け引きに終わりはない。
日本でも、あらゆる階層に、武漢肺炎のダメ―ジが蓄積されている。
マイナス面は、切りがないほどある。
しかしそれなら、武漢肺炎では、せめて何かいいことはなかったのか?
それは、ないこともない、
一つは、多くの国に、中国と言う国が世界中に災厄をまき散らす諸悪の根源との認識が広がったこと。
もう一つは、期せずして、今迄の働き方に無駄がなかったかを検証できたことだ。
武漢肺炎は、結果として働き方の変化を生み出したとも言える。
普通の会社は従来、9時には社員全員が会社に集合し、会議や打ち合わせを繰り返した後に、午後6時には会社を離れる。
そこから社員同士で酒を飲んで、親睦を深める。
日本の会社員は、長年に亘って、こんな働き方をしてきた。
しかし武漢肺炎の所為で、多くの人が、何も会社に行かなくても、自宅ででも仕事ができることが判明した。
企業には通勤費用が軽減されるし、会社員にとっても通勤の体力消耗から解放される。
双方にとってウィンウィンなので、今後の働き方改革の目玉になる。
我々日本人は、転んでもただで起きない、精神的、肉体的強かさが必要だ。
せめて何か良かったことを考えないと、この半年間の損害に腹が立って仕方がない。