日本人として、7月からの東京オリンピックは楽しみだった。
「だった」と過去形で書くと不謹慎だが、予定通りに開催するのは甚だ難しい。
理由は、謂わずと知れた、武漢肺炎の影響だ。
もちろん、未だ四か月の時間的余裕がある。
この間で、劇的に武漢肺炎が終息する可能性はゼロではない。
しかしそれは、あくまで日本国内に限定した話だ。
日本は、政府の対応は四方八方からボロクソに貶されてきたが、世界的に見れば、その後の患者増加は決して多くはないし、死者数は世界でも実に少ない方だ。
武漢肺炎発生源の中国では、「既に抑え込みに成功した」と中国政府は言っている。
中国共産党の言う事なので、この言葉を信用するかどうかは別として、世界で最初に患者が発症して、その後に8万人超の患者と3千人の死亡者が出ている国だから、そろそろ減り始めても不思議ではない。
アホポン国家の韓国如きですら、「安定期に入った」と、これ以上の爆発的患者増加はないと発表している。
しかし仮に、まさしく仮にだが、中国、韓国の話が珍しく本当だったとしても、残念ながらそれは、あくまでアジア地区限定の話だ。
ヨーロッパ各国では、武漢肺炎患者が急増してパニック状況に陥っているし、アメリカでも今から大騒ぎになることが懸念されている。
中国にしか配慮しない無能組織WHOは、一説には、中国が終息に向かったと発表したので安心して、パンデミック宣言に踏み切ったとも言われる。
南半球諸国の患者数は、今のところは決して多くはない。
しかしこちらは、今から冬の季節に向かう。
グローバルでは、今からが武漢肺炎のシーズンインなのだ。
そして最悪なのは、その処方箋が全く分かっていないことだ。
要は、開催国の日本では、この四か月で終結方向に向かうかもしれないが、参加諸国においては、今から武漢肺炎患者が増えてくる可能性が高いのだ。
そしてそれらの国が、今から四か月で患者を撲滅できる可能性は極めて低い。
と言うより絶望的!
と言うより、不可能だ!
その場合は、オリンピック参加国の派遣選手に、武漢肺炎患者が紛れ込むことになる。
そんな患者が一人でもいると、選手村で伝染してしまうことになる。
オリンピック開催の可能性は、限りなく小さい。
と言うより絶望的!
と言うより、不可能だ!
そんな雰囲気なので、IOCバッハ会長も「WHOの決定に従う」と弱気だ。
アメリカトランプ大統領は、個人的意見と断りながら、一年延期を示唆した。
東京都知事や日本政府は、建前上は「変更なし」との見解だが、関係者からは「中止よりも延期の方が良い」と、一年とか二年延期案が出始めている。
実際には、遅くとも5月には最終決断が必要らしいが、客観的に見れば、今の時点でギブアップなのだ。
それが言えないから、政府と主催者は「ヤル、ヤル」と繰り返しているが、「延期で済むならその方が現実的」だ。
ただこの場合、最も可哀そうなのは、晴れてオリンピック選手に内定している連中だ。
オリンピック代表選手は、全員が人生を賭けて努力してきた。
当然ながら、彼らは今年夏にピークが来るように、練習を繰り返してきたはずだ。
その調子を、更に一年以上も持続することは不可能だから、命がけの努力の結果でやっと勝ち得た代表の座だが、延期になれば、また選考のやり直しとなるだろう。
今までの努力が徒労になった時に、アスリートとして立ち直れるのだろうかと心配してしまう。
モスクワオリンピックの金メダル確実と目されていた、マラソン代表の瀬古利彦は、日本の大会ボイコットで、その栄誉に浴する機会を失った。
2020年東京オリンピックが延期、若しくは中止されると、日本代表と内定していたのに、世界を相手に戦う機会を失ってしまう選手が出てくる。
そんな選手たちへの物心併せたケアにこそ、我々日本人のリスペクトと思いやり、優しさを発揮するべきだ。
例えオリンピックで雄姿を見せられなくても、次の大会までの支援体制を約束して、選手に安心して競技に打ち込める環境を用意するのは、日本人と日本企業の責任だ。
悪いのは、世界中にこんな大災害をばらまいた中国であって、日本のオリンピック代表選手には毫も責任はないのだから。