昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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交通違反の達人

ブログ友のジェリーさんが、運転中に携帯電話をチラ見した「咎」で、交通警官に「拿捕」されたらしい。
http://blogs.yahoo.co.jp/jerrygarcia_gratefuldead/31554388.html
運転中に携帯電話を使用するのが違反なのはあまねく知れ渡っているが、チラリと見るだけで罪になるのを知っている人は少ない。
運転中に携帯電話を手に持っただけで駄目だと言うのだろうが、それならカーナビを見るのも同じだろう。
何だか、過剰規制の様な気がする。

僕の知人に「交通違反の達人」がいる。
彼は今回の可哀そうなジェリーさん(Poor Jerry)に似た経験をしているが、後の対応は違う。
彼が社有車で仕事中の事だが、一旦停止地点を過ぎた所で警官二人に止められた。
警官「貴方は今、一旦停止を怠りましたネ?」
勿論彼は、VTRでもなければ証拠はないはずなので、「私ァ絶対に止まった」と、即座に否定する。
警官「貴方ネェ(ここは慇懃に)、私たち警察官二人が貴方の一旦停止違反を見ているんですよ」。
勝ち誇ったような警察官に対して、彼の反論が素晴らしい。
「何言ってるの、そんな理屈なら、この車に僕の友人が二人乗っていて、彼らが一旦停止したと主張したら、僕の方が正しくなるヂャないか!」
思わぬ反撃に警官の方がタジタジになり、「今回は見逃すから、今後は注意してください」で一件落着。
但し無罪放免になるまでには、二時間以上の粘り強い交渉、と言うよりも詭弁を弄する精神力が必要だったらしい。
彼は、「交通違反の場合、明白な証拠がなければ、時間さえかければ警官の方が妥協してくるので絶対に違反切符にサインしてはいけない」との違反哲学を披露してくれた。

後日談。
機嫌良くドライブしていた彼は、不注意にも一方通行の道路に侵入してしまった。
運悪くこんな時に限って道路の先に警官がいて、手招きされたらしい。
彼は「拙かったナァ」と思いつつ、警官の元に車を寄せた。
警官「貴方は今、一方通行道路を逆走しましたネ」
と、ここで彼は、「冗談ヂャ無いですよ。アンタが手招きしたからここまで来たんだ。僕はここが一方通行なんて知っていたけど、警官が呼んだら行かないわけにはイカンでしょう」と二時間以上頑張り続け、これもまた無罪放免。

更に後日談。
今ほど飲酒運転に厳しい罰則がなかった頃、彼はクラブで焼酎を痛飲。
流石にその状態で運転するのは拙いと思い、サウナで三時間しっかり汗を流し、酔いを醒まして深夜の二時過ぎに、制限速度をしっかり守りながら帰路についていた。
ところが、何故かパトカーに停止を命じられた。
彼が「何故止めるんだ!チャンと制限速度を守って運転しているヂャないか!」と抗議すると、警官は「こんな深夜に制限速度を守って運転しているのは、絶対に怪しいものだ」と取り合ってくれず、飲酒テスト用の風船を突きだす。
やむを得ず、新鮮な空気を吸いつつ少しずつ風船を膨らましていると、警官から「そんなやり方は駄目、一気にフーッと吹きなさい」との行政指導を受けた結果は、最悪の酒酔い運転の色が出てしまった。
警官「ハイ、ではこの色でサインして」
と、ここで「この色は、私にはこっちの色に見えます」と彼が指差したのは、一ランク下の酒気帯び運転の色。
警官「アンタは色盲(差別語だが当時は普通に使っていた)ですか?何でこの色がこっちに見えるのですか!と頭にきたようだが、彼は頑として「誰が何と言おうと、私にはこっちの色にしか見えない」と引かない。
警官が本部に電話して「どうもこの人はこんな事に慣れているみたいです」と相談しているのが聞こえたらしいが、本部の結論は「時間も時間なので、本人が認める色でサインして貰うように」だったらしい。
「イヤァ。免亭期間が短くて助かりました」が彼の感想だった。

そして最後の逸話。
飲酒運転違反に懲りた彼は、「酒を飲んだら二度と運転はしない」と堅く誓ったらしいが、生来の酒好きはそうは簡単に治らない。
そして酒を飲めば気が大きくなるのは、古今東西変わらぬ酒好きの習性で、あれほど神様、仏様に約束していた禁を犯してまたも飲酒運転をしてしまい、今度は電柱に正面衝突してしまった。
車は大破、救急車とパトカーが駆けつけてきた時の彼は酩酊状態で酒の臭いがプンプン。
彼は一旦救急病院に連れて行かれたが、治療の後すぐに警官がベッドに飲酒テスト用の風船を持って近づいた。
警官「ハイ、風船を吹いて」
彼は「アイタタタ、胸が痛い」と、仰々しく悶え苦しみ、「何とか酒が抜けるまでは」と、必死の演技を続けたらしい。
余りの痛がりぶりに、医者が警官に「患者が痛がっている以上、飲酒テストはやめてください」ととりなしてくれたので、この事故での酒酔い運転の容疑は晴れて無罪。

サラリーマンには時間がないので、ついつい警官の言う通りにサインしてしまうが、彼は「時間と根気があれば、大半の交通違反は乗り切れる」と豪語していた。