昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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菅沼栄一郎と台湾のインチキ漢方薬

久しぶりに、テレビで菅沼栄一郎を見た。
口にするのも憚られるような破廉恥不倫事件を引き起こし、確か「バナナ男」と揶揄されたはず。
そんな恥ずかしい過去があるので、完全にジャーナリスト失格と思いきや、如何にも押しつけがましい態度は相変わらずで、堂々と自説を語っていた。
どの面下げてと思うが、例の大騒ぎは1999年の事なので、最早時効扱いなのだろう。
菅沼栄一郎の業績や個性などはどうでもいいのだが、当方このオトコを見ると、台湾で騙された恥ずかしい過去を思い出してしまう。

実は菅沼のスャンダルが発覚する直前、1999年に顧客の台湾社内旅行に同行した。
台湾は今でこそ技術大国の地位を確たるものにしているが、当時は、町中に溢れたオートバイで大気汚染が問題になり、ホテル界隈には売春婦が大挙して押しかけ、有名な夜店には如何わし気な食べ物が並び、まだまだ発展途上国の熱気があった。
こんな国では、必ず観光客目当ての詐欺師が徘徊する。
夜店に行くと、この手の輩が「ローレックス1万円、これ本物」とすり寄ってくる。
こんなのは最初からインチキと分かるが、詐欺師が少し凝ってくると「時計店に行こう」と誘う。
その店で売っているローレックスは、10万円。
「普通なら100万円以上だが、お客さんは特別だから」などと、必死に売り込む。
1万円なら偽物見え見えでも、10万円となると「ひょっとしたら」と思い始めるが、ガイドから、「そんな心理を逆手に取った商売」と諭されたので、こんなローレックス詐欺に騙されることはなかったが、その後の足裏マッサージにはやられた。

台湾の足裏マッサージは有名で、観光客が押し掛ける。
我々もタクシーを飛ばして、台北でも有名な足裏マッサージ店に赴いた。
すると受付で、そこの女将さん風情の婆さんが話しかけてきた。
女将「あ~タ等、日本人?」
当方「Yes, 僕は一見アングロサクソンに見えるかもしれないが、実は正真正銘の日本人也。」
女将「そう言えば、旭鷲山に似てる。」
当方「馬鹿こくでネェ!旭鷲山はモンゴリアン、こっちはアングロ系日本人!」
とか話が弾んだところで、「あ~タ、菅沼栄一郎って知ってる?」と聞いてきた。
当方「オォ、知ってる知ってる。いま日本では久米宏の相方でテレビに出てる。」
女将「実はあの人、私の恩師の自慢の息子。菅沼先生には、昔日本で本当にお世話になった。」
と懐かしがり、先生に手紙を書いたけど、日本への手紙の出し方が分からないと言う。
当方、こんな話には弱い。
「ヨッシャァ、その手紙、ワシが預かる。帰国後出しチャルけぇ。切手代はサービスしちゃるけん任せンサイ。その代り、今日の足裏マッサージは、こってりと頼むゼヨ」と、仁義なき戦いと龍馬が行くをブレンドしたようなセリフで安請け合いした。

女将もマッサージのオッサンに目配せして、イザ開始となったが、これが痛い事、痛い事。
悶絶しながらギャアギャア騒いだ挙句一時間で終了すると、マッサージのオッサンが中国語でゴニャゴニャとご託宣を述べる。
女将の通訳によると、「先生は、あ~タは肝臓と前立腺が悪くなっているから、この漢方薬を服用しなさいと言っている」と、見るからに毒々しい赤色の丸薬を持ち出した。
更に「これは別名ピンピン丸。新高山の山頂でしか取れない薬草なので値段は高いけど、一週間後にはピンピンで、どうしようもなくなるほど霊験新たかな薬なのヨ」と講釈を垂れる。
「30錠入りが15千円、今は二箱しか在庫がないから、買っておいた方がいいワヨ」と煽られ、「無くなったら大変」と、ついつい大枚3万円を叩いて買い込んだ。
ついでに、今後は日本から通販で買えるように申込用紙まで貰い、意気揚々と帰国した。
無論約束の手紙は、きちんと事情説明まで添えて出したので、菅沼先生(即ち、菅沼栄一郎のオッカサン)からは丁寧なお礼の電話がかかってきた。

情けは人の為ならず。
ここまで親切にしたら、必ず良い事が起きるに違いない。
と期待に胸を膨らませて、ピンピン丸を服用する。
期待の一週間後、が、全く効果がない。
結局惰性で二か月間続けたが、全く改善点見当たらず、単に3万円損しただけで終わってしまった。
冷静になって振り返ると、「なかなか良く出来た詐欺だ」との結論に至る。
先ず当方の年齢になると、大半の人が肝臓と前立腺に負担がかかっている。
だから尤もらしい顔つきで、この二つの機能が低下していると言っておけば、たいていの人に当てはまる。
更に一週間後に効果が出てくるとなると、これまた大半の人が帰国しているので、効果がなくてもクレームのつけようがない。
結局は、泣き寝入りするしかない。

しかし、「新高山の山頂」話が出た所で、この話の胡散臭さに気が付かないといけない。
枯淡の境地に達した今なら、こんな程度の低いセールストークに騙される事などない!(かもしれない......)
しかしテレビで菅沼栄一郎を見て、煩悩の塊だった当時の自分の浅ましさを思い出してしまった。
菅沼栄一郎に何一つ非がある訳ではないが、当方、菅沼栄一郎のテレビ復帰には大反対ですネェ。