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ユニクロについて

ファーストリテイリング柳井正社長が、記者会見で中国工場の職場環境問題を釈明した。
NPOに指摘された労働環境の悪さは例外で、他は問題ないと主張している。
しかし、ユニクロブラック企業だとの、批判は絶えない。
特に昨年12月の最高裁判所判決で、中国工場に潜入調査したジャーナリストの横田増生が書いた「ユニクロ帝国の光と影」発行の文藝春秋に2億2千万円の損害賠償を求めた訴訟で、ユニクロ側の全面的敗訴が確定したのは、ユニクロにとって大きなダメージになっている。
柳井社長が必死になって抗弁しても、ユニクロの企業体質に問題があるのは間違いない。
僕は、自分が長年に亘って事業に関わった経験から、かってのダイエーがそうだったように、安売りを謳い文句にビジネスを展開する企業を信用していない。
だからユニクロに対しても、その体質には批判的だ。

しかし、ダイエーユニクロには決定的な違いがある。
ダイエーは一時期、価格破壊の旗手と持て囃されたが、魅力的な商品が全くなかった。
流石に安値商品ばかりでは行き詰ったようで、途中からブランド名を変えて高級品も販売したが、安売りのイメージが定着してしまったダイエーの高価格商品なんかは、誰も買わない。
結局ダイエーイオングループに吸収される形で消滅した。

ところがユニクロには、価格の割には高機能商品が展示されている。
典型的な例は数年前からの大ヒット商品「ヒートテック」で、これを着用すると、実際に冬の寒さが軽減される。
しかも価格は、わずかに千円。
安くて性能がいいので、爆発的に売れた。
冬の屋外運動は、ゴルフだけでなくウォーキングも、ファッションが難しい。
余り着込むと動きが緩慢になるし、薄着だと寒い。
この辺の兼ね合いが難しいが、ヒートテックの出現で悩みが解消された。
僕は冬のゴルフでは、ヒートテックを愛用している。

実は冬のウォーキング用として、裏地が毛布のようなズボンを買い込んだが、これは歩いているうちに汗ばんでくるほど暖かく、些か実用面で問題がある。
そこで、もうちょっと薄手で、それでも充分に耐寒性のあるものを探していた。
そして偶々昼飯に外出した時に、ヒヤカシ気分でその傍のユニクロに立ち寄ってみた。
するとわずか990円で、こちらの要望を全部満たすズボンが売られていた。
(定価は1990円だったが、その日は990円で販売されていた。)
着用してみると、実に心地よい。
最早、少々寒くても、冬のウォーキングが全く気にならない。

ユニクロが、こんなに良い商品を安値で販売できるのは、社員に安月給で不当な労働環境を強いている結果かもしれない。
発展途上国に進出した企業は、恐らくはユニクロと同じ悩みを抱えるはずだ。
日本人に比べて低賃金で働く事を厭わない彼らに、日本並みの労働環境を用意すると、何のために発展途上国に工場を構えたのか分からなくなる。
しかしコストばかりを優先し続けると、段々と上質の労働力確保が出来なくなる。
「安かろう、悪かろう」商品なら比較的簡単に供給できるが、「安くても上質な」商品は、それ自体が矛盾したコンセプトなので、継続して供給することは難しい。
ブラック企業の汚名は困るが、綺麗ごとを言っていると、消費者が飛びつくような価格設定ができなくなるから、ソコソコの条件改善で誤魔化したいのが企業側の本音だろう。
ユニクロが中国で従業員に過酷な労働を強いたのは、我々消費者が安くて良いモノを求めるからとも言える。
しかし、一消費者としてみれば、こんな商品を入手できるのは嬉しい。
ユニクロブラック企業だと批判、非難するのは簡単だが、半面、その恩恵を受けているのも我々だ。

個人的な感想だが、今や経済界の旗頭になったユニクロの柳井社長には、胡散臭さを禁じ得ない。
しかしユニクロが安くて良い商品を販売すれば、そんな思い込みなど無関係に、僕は今後もユニクロ製品を買い続けるだろう。
店主は嫌いだし、店の雰囲気も気に入らないが、食べ物が上手いから通い続ける食堂のような感じだ。
従業員に過酷な労働を強制するブラック企業には批判的な見方をしながら、安くて良い商品なら、そんなブラック企業が作ったものでも買ってしまう。
僕なんかは、そんな身勝手な消費者そのモノだ。