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安倍晋三の発言

後藤健二氏がイスラム国に殺害されたのは、残念ながら事実のようだ。
イスラム国は更に、日本人全員をテロの対象とすると発表した。
それまでタブー視されていた、安倍晋三のカイロでの「ISILに敵対する勢力への後方支援」発言を批判する意見も目立ち始めた。
そうすると必ず、それに対する反論も出てくる。
日本は発言の自由が認められていて、時の総理大臣を批判するのも、擁護するのも何ら差し障りがない。
全く恵まれた国だ。

我が愛読紙、産経新聞は、誰もが認める安倍晋三の応援団だ。
早速批判勢力に対して、「それこそがISILの思う壺」と、むしろ日本の安全保障を根本から考え直すべきだと主張している。
安倍晋三を擁護する側は、今回の日本人二人の拉致、誘拐事件は、数か月前に起きていたもので、安倍晋三の発言には無関係だと言う。
まさにその通りだろう。
しかしイスラム国にとって、最も効果的な発表の契機になった事は、例え安倍晋三を支持する人でも認めないといけない。
何故なら、イスラム国が日本人二人への身代金を要求した時も、その二人の殺害を発表した時も、「アベの愚かな判断の所為」と繰り返しているからだ。
危機管理の点からは、ISILを名指ししないとか、もっと違った後方支援の発表の仕方があったはずだ。
安倍晋三の、有志連合へのリップサービスの度が過ぎた結果が、イスラム国に絶好の口実を与えた事を否定してはいけない。

イスラム国の呼称への、問題提起も増えてきた。
「あれは国ではなく、ゴロツキ集団でしかない」との意見だ。
しかしISILと呼ぼうが、イスラム国と言おうが、そんな事はどっちでもよい。
彼らが、我々の価値観からすれば、凶悪な犯罪集団なのは間違いない。
しかし日本でも、ヤクザ集団が「愛国連合」を名乗ったり、如何わしい宗教団体なのに「世界を救う団体」みたいに自称している例は多い。

そんな事よりも、彼らが、「彼らなりのイスラム教」で理論武装している事の方が、実は一番の不安材料だ。
世の中の組織で一番強いのは、その組織の為に死を厭わない構成員が多いグループだ。
犯罪に関与したオウム真理教や宗教団体では、マインドコントロールが問題になった。
だから犯罪組織でも、構成員を縛る組織哲学を重要視する。
日本のヤクザ組織が仁義を重んじたり、マフィアがファミリーを強調するのも、その為には構成員に死を覚悟させる理論的バックボーンになるからだ。

イスラム過激派は、西欧的な価値観や腐敗堕落したイスラム系の王侯貴族を攻撃する。
実際に今回の事件で、日本が全面的に解決を頼ったヨルダンでも、アメリカの同胞国、サウジアラビアでも、王族への利益集中や腐敗への反発は予想以上に大きい。
そしてこのような意見は、イスラム圏では一定程度の支持を得ている。
我々には、単なる犯罪集団としか思えないイスラム国に、多くの地域から志願兵が馳せ参じているのも、この所為で、それが一層、事を深刻にしている。

イスラム国は、単なるローカルゴロツキ集団ではなく、国際的なプロ犯罪組織と見做さなければならない。
アメリカは「イスラム国壊滅宣言」を出しているが、空爆以外に具体的な方策がないのが実態だ。
実際に戦火を交えているのは、クルド族やアサド政権下のシリアと言うから、どちらが勝っても次の問題が控えている。
イスラム圏で発生する諸問題は、一筋縄では解決不可能なモノばかりだ。

僕は、分からないことが多すぎるアラブ、イスラム問題では、むしろ日本は優柔不断の方が良いと思う。
あまり早急にアメリカべったりの旗幟を鮮明にすると、イスラムの一部から不必要な反発を招く。
第一アメリカに、今のイスラム国の問題を解決できる処方箋があるとは思えない。
もう少し帰趨が判明するまでは、犯罪集団のイスラム国に対しても、刺激的な発言は控える。
個人的には、ずる賢いくらいに、強かに、どっちつかずの両睨み作戦の外交が好ましいと思っている。