インターネットオークションで、超「名画」を買った。
タイトルは「窓からの風景」。
激烈な競合を勝ち抜いての落札なので、感慨ひとしおだ。
それほどの「名画」だが、不思議なことに落款はない。
作者不詳なのだ。
細部は繊細にして、全体は豪放!
相当の技量を有する、画家の作品に違いない。
妻は「マチス作なのでは」と主張する。
確かにロシア・サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館「マチスの部屋」で見た作品に似ている気がする。
「名画」を入念に調べると、手がかりが見つかった。
額縁の中に、鹿児島地方都市の販売店シールが貼られていた。
後は、梅原と鹿児島地方都市の関係が分かれば、ほぼ作家が特定できたも同然だ。
そこで、梅原龍三郎の経歴を調べると、
フランス留学、度々渡欧
山梨県清治町にアトリエ移転
と出てくるが、残念ながら鹿児島県との接点の記述はない。
しかし、ここで諦めることはない。
ひょっとして、旅先の鹿児島で、気に入った旅館の窓から眺めた光景を絵に認め、世話になったお礼と旅館に寄贈したものかもしれない。
世を憚ってのお忍び旅だったので、敢て画家名を伏せた可能性もある。
そうであれば、これは大変なお宝発見ということになる。
尚、入手価格は送料込みで、5千円弱。
市井の民の支出としては、高価ではないが、決して安くもない。
まことに中途半端な価格だが、落款がないだけでこれだけ好き勝手に想像できるのがありがたい。
入手した「名画」を前に、美術館に寄贈するか、はたまた子々孫々まで門外不出の家宝として受け継がせるか、悩みに悩んでいる。